台湾、2019年の米国向け輸出は17.2%増で過去最高に

(台湾、中国、米国)

中国北アジア課

2020年01月17日

台湾財政部が1月7日に発表した貿易統計速報によると、台湾の2019年通年の貿易額は、輸出が前年比1.4%減の3,293億3,565万ドル、輸入が0.4%増の2,858億5,851万ドルとなった。貿易黒字は11.7%減の434億7,713万ドルだった。

ICと情報通信機器が輸出を牽引

月別にみると、12月の輸出額は前年同月比4.0%増の294億9,458万ドル、輸入額は13.9%増の269億9,233万ドルとなり、輸出入ともに単月としては過去2番目に高い水準に達した。四半期別にみると、第4四半期(10~12月)の輸出額は前年同期比1.9%増の870億5,727万ドルで、過去最高を記録した。

財政部では、2019年の輸出入は、第5世代移動通信システム(5G)など新興技術の特需、台湾メーカーによる継続的な域内の生産能力拡大、春節前の駆け込み需要や国際原材料価格の下げ止まりおよび回復などの影響を受けたものと分析している。

表1 主要国・地域別の輸出入

国・地域別にみると、12月単月では、米国向け輸出が前年同月比12.9%増の41億9,776万ドルと過去最高を更新したほか、中国・香港向け、日本向けの輸出は電子部品の輸出が好調で、それぞれ6.2%、5.5%増加した。2019年通年では、米国、日本向けの輸出がそれぞれ前年比17.2%増、2.1%増と増加し、いずれも過去最高を記録した(表1参照)。他方、中国、ASEAN、香港、欧州向けが軒並み減少した。

輸出を品目別にみると、集積回路(IC)や情報通信機器が輸出の増加に寄与した。2019年通年では、電子部品、情報通信機器がそれぞれ1.6%増、20.8%増と堅調な動きをみせた一方、卑金属および同製品、化学工業品、プラスチック・ゴムおよび同製品などがそれぞれ11.6%減、15.7%減、10.7%減と弱い動きになった(表2参照)。

表2 主要品目別輸出入

2020年第1四半期の輸出は安定的に成長

財政部は今後の見通しについて、米中貿易摩擦の緩和により世界経済の不確実性が解消しつつあることや、グローバルサプライチェーンの再編、一部メーカーの台湾回帰による域内生産拡大、5Gや人工知能(AI)などの飛躍的な発展などにより、将来的に電子関連製品のビジネスチャンス拡大が見込まれることからも、2020年第1四半期の輸出は安定的に成長するとの見方を示した。

(嶋亜弥子)

(台湾、中国、米国)

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