2019年の拡大消費者物価指数、許容範囲内の4.31%

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年01月30日

ブラジル地理統計院(IBGE)は1月10日、2019年12月の拡大消費者物価指数(IPCA)が1.15%、12カ月累計で4.31%となったと発表した(表参照)。中央銀行は2019年のインフレ目標として4.25%の中央値、許容範囲を上下1.5ポイントに定めており、許容範囲内に収まる結果となった。

2019年は飲食料品分野が6.37%増と最も上昇幅が大きくなった。中国がASF(アフリカ豚コレラ)の影響で国内産の豚肉を海外産で代替する需要が生まれたことが背景にある。ブラジルから中国への肉輸出が増加したことで、ブラジル国内の肉価格が上昇し、通年で32.04%と大幅に上昇した。筆者が自宅近くの軽食堂にヒアリングしたところ、肉の価格が高騰する一方、消費者からは価格据え置きの要望があり、店舗の利益率を削らざるを得ない状況だという。次いで、保健・個人衛生品分野が5.41%増だった。これは、保健局(ANS)が2019年の民間医療保険の月額保険料引き上げ率を7.35%に設定したことが挙げられる。そのほか、国営石油会社ペトロブラスが11月の通貨レアル安を背景にガソリン価格を引き上げたこともあり、交通分野の燃料で5.19%増、公共バスを中心とした公共交通で5.14%増となっている。

表 2019年の12カ月累計拡大消費者物価指数(IPCA)

(古木勇生)

(ブラジル)

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