持続的成長に向けた取り組みをダボスで議論

(スイス、世界)

ジュネーブ発

2020年01月31日

持続的成長に関する会議「SIGEFダボス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が1月22日、スイス・ダボスで開催された。持続的成長を実現するためのソリューションやさまざまなアイディアを交換するプラットフォームを運営しているNPOのHoryouが主催し、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」とイノベーションなどの進歩の促進や倫理面の議論を目的とする同会議へは、産業界、NPOなどからの登壇者含め約100人が参加した。本会議の議題は、国連の前述のアジェンダに記載された「持続可能な開発目標(SDGs)」の17のゴール(目標)のうち「5.ジェンダー間の平等」「9.産業・イノベーション・インフラ」「12.責任ある消費と生産」をカバーしており、各目標をユーザーで解決する上で示唆に富む議論が展開された。

「12.責任ある消費と生産」については、フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)が、現在世界に推定11億人いる喫煙者に対する世界最大級のたばこ供給メーカーとして、スモークフリーの社会実現に向けた取り組みを行う責務があり、2025年までに4,000万人に煙が出ない電子たばこなどのソリューションを提供する予定だと述べた。ネスプレッソは、カプセル製品のアルミ回収やコーヒーの堆肥化など、素材のリサイクルについて、ユーザーによるリサイクルなどの個人的な価値が社会全体の価値として共有されるよう、世界中で取り組んでいることを紹介した。

「5.ジェンダー間の平等」については、女性役員であるマスターカードの副会長アン・カインズ氏と、CBSニュース・デジタル副社長兼ゼネラルマネジャー(GM)のクリスティ・タナー氏が登壇し、自社における女性登用や男性による育休取得の推進、家族や社会の成長のためでもあるという、動機付けの在り方について意見交換を行った。

公的機関からは、OECD統計データ局戦略パートナーシップ部のカレン・ウィルソン氏が、SDGsは資金面やイノベーション面、政策面が複合的に関係するもので、それらのインパクトを横断的に評価する仕組みが必要だとして、OECDが2019年5月にSDGsの目標までの進捗を測る評価指標外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表したことを紹介した。

「9.産業・イノベーション・インフラ」に関しては、新たな技術による、これまでになかった社会のつながりや経済インフラの整備の可能性が指摘された。インターネット決済については、フィリピンなどの出稼ぎ労働者からのオンライン送金や、ケニアなどでのモバイル送金がよく知られているが、政府の腐敗や政情不安を抱える国では、公的金融が信頼できない場合やサービス利用可能地域が限定される場合もあるとのことだ。これに対して、ブロックチェーン技術を利用した暗号資産の利用が最近注目を集めているが、さらに難民救済なども視野に入れたインターネット上の経済インフラ(個人認証、銀行開設など)整備が進めば、人々のつながり(主権国家の在り方)をも変革する可能性を指摘するとの発言もあった。事実、ブロックチェーン技術を用いた経済インフラをより所として仮想国家を設立するという試みは、既に幾つかみられているとのことだった。

SIGEFの会議は今回が7回目。2019年9月に東京で第6回SIGEF会議を開催したが、2020年中に再度、東京を会場に次回会合を開催したいとのことだ。

写真 主催者Horyouの創設者で最高経営責任者(CEO)のヨナタン・パリエンティ氏(ジェトロ撮影)

主催者Horyouの創設者で最高経営責任者(CEO)のヨナタン・パリエンティ氏(ジェトロ撮影)

(和田恭)

(スイス、世界)

ビジネス短信 d8552f39b2b4ed72