2019年のインフレ率、2.5%で前年から半減、食品と飲料が貢献
(フィリピン)
マニラ発
2020年01月20日
フィリピン統計庁(PSA)は1月7日、2019年通年の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)は2.5%と発表した(表参照)。1.3%を記録した2016年以降最も低く、5.2%だった2018年から半減した。
2018年1月1日に施行された税制改革法第1弾による物品税の増税(2018年3月27日記事参照)や、世界的な商品市況の高騰基調も重なり、2018年通年の5.2%は政府の通年目標2.0~4.0%を上回ったが、その反動で2019年に入り物価は安定した。
インフレ率が減少した要因として、CPIバスケットの32%を占める食品・非アルコール飲料が2.1%と、前年の6.8%から4.7ポイント減少したことが挙げられる。そのほか、アルコール・たばこが12.8%(7.2ポイント減)、住宅・水道光熱費が2.4%(1.5ポイント減)、運輸が1.0%(5.6ポイント減)と軒並み減少した。一方で、2019年に上昇した項目として、教育が0.2%(1.0ポイント増)、娯楽・文化が2.5%(0.5ポイント増)、衣類・靴類が2.6%(0.2ポイント増)、保健が3.5%(0.2ポイント増)だった。
フィリピン中央銀行(BSP)の金融政策委員会は2019年11月、2019年のインフレ率の予測値をそれまでの2.5%から0.1ポイント引き下げて2.4%とした。一方で、2020年と2021年のインフレ率予測はともに2.9%とした。BSPは2019年に入ってからインフレの減速を見越し、景気への刺激策として政策金利である翌日物借入金利を3回に分けて合計で0.75ポイント引き下げて4.00%とした。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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