応用経済研究所、税制改革による付加価値税一本化税率を26.9%と試算

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年01月31日

応用経済研究所(IPEA)による1月の報告書によると、IPEAは、ブラジルの税制改革で付加価値関連諸税を一本化した場合の税率は26.9%になると試算している。IPEAは経済省が所管する公的研究機関で、同報告書は今後、2020年連邦議会で本格化する審議への基礎資料としての役割が期待されている。

ブラジルの税制改革法案は、憲法改正による議員立法2法案〔下院:2019年憲法改正法案(PEC)45号、上院:2019年PEC110号〕を一本化して審議するもの。その目的は、付加価値税(IVA)に相当する諸税、(1)連邦税の社会負担金(PIS/COFINS)および工業製品税(IPI)、(2)州税の商品流通サービス税(ICMS)、(3)市税のサービス税(ISS)を一本化して物品サービス税(IBS)とするものだ。

ブラジル企業は、多額の税負担、連邦政府・州・市の多岐にわたる税金、州や市によって異なる税率など、複雑な税務申告手続きに対応するための膨大な業務負担に苦しんでいる。税負担軽減は容易でないにしても、付加価値関連の各税が一本化して業務負担軽減や外注コストが低減すれば、画期的なビジネス環境改善となる。世界銀行「Doing Business 2020」によると、ブラジルで税金面での国際競争ランキング(税金支払い手続きに要する時間、税金数、税負担で選定)は184位。税金支払いに要する作業時間は1,501時間に及び、日本の11.6倍を要する。

IPEAの試算結果である税率26.9%は、現行収税水準を変更しないことと、収税額の配分比率も現行どおり国家が10.2%、州が14.7%、市が2.0%と仮定している。

税率26.9%を他国と比較すると、世界的にみても高水準のハンガリーの税率27%に迫る。25%のスイス、ノルウェー、スウェーデンよりも高い。

IPEA報告書に携わったセルジオ・ゴベッチ研究員は、税率26.9%は高水準だが、ブラジル国内で現在、モノやサービスを消費する際に負担する平均税率で、特定の物品に対する税率は高く、生活必需品には軽減措置があり、ISSの税率は低い、と述べている。ゴベッチ研究員は、(1)現行税制は消費者にとって税負担額が分りにくく透明性が低い、(2)現行のICMSは燃料、電力、通信の税率が高く、相対的に貧困層の負担感が大きいという問題を指摘している。連邦議会では、税率を25%に引き下げて、税収減分を所得税率引き上げで穴埋めする案もある。同案であれば、高所得者への課税調整により貧困層の不公平感を是正できると指摘している。

IPEA報告書では、低所得者への税金支払い還付制度の規模を180億レアル(約4,680億円、1レアル=約26円)から300億レアルと見積もっている。連邦議会で審議されている税制改革法案では、補則法によって低所得者への還付制度を制度化する内容も含まれている。

(大久保敦)

(ブラジル)

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