カルナータカ州政府、イノベーションレポート発表でベンガルールの魅力アピール

(インド)

ベンガルール発

2020年01月09日

インドのカルナータカ州政府は2019年12月17日、州都ベンガルールで開催された展示会「Startup & Industry Interaction & Expo」で、ベンガルールのイノベーション環境に関するレポート「Bengaluru Innovation Report 2019」を発表した(概略版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。このレポートは、カルナータカ州政府が主導し、地元の有識者で構成する諮問機関「スタートアップビジョングループ」がイノベーションをテーマに初めて共同製作した。主にイノベーション人材やスタートアップエコシステムといった観点から、さまざまな活動指標でベンガルールの優位性や先進性を示している。

例えば、ベンガルールはインド政府が主導する電子決済システムUPI(Unified Payments Interface)による決済の利用がインド全体の38.1%となっており、ハイデラバード(12.5%)やデリー(10.22%)、ムンバイ(6.78%)を抑えて最も多くなっている。また、州外からの労働者の44%が技術的なスキルを持つ高度人材で、200万人を超えるIT技術者がベンガルールで就労しているという。これはインド国内全体のIT技術者の33%に相当する。さらに、インド全体の39%の研究開発拠点がベンガルールに集中しており、イノベーションが促進される大きな要因となっていると指摘する。

スタートアップ企業については、2010年から総額300億ドルの投資が実施されており、特にレーターステージの企業への投資が半数の約150億ドルを占める。これは2番目にスタートアップ投資の多いデリーの約1.7倍に上る。ユニコーン企業が多いのも特徴で、インド国内のユニコーンの44%がベンガルールに立地しており、こうした点からもデリーやムンバイなどの他都市を上回るエコシステムの優位性がわかる。

一方で、レポートには、「ベンガルールはスタートアップハブとして発展しているものの、カルナータカ州内の中堅(Tier2)都市はその果実をしっかり享受できていない」との指摘もある。2014年以降、ベンガルールで生まれたスタートアップの数は7,794社に上るが、Tier2都市の企業数は、マイソール(107)、マンガルール(79)、フバリ(62)、ベラガビ(43)となっており、ベンガルールへの一極集中は否めない。「今後、州政府などの政策的主導の下、大学や企業とのオープンイノベーションに地方都市発スタートアップや企業家が関与することが重要」とレポートは指摘している。

(遠藤壮一郎)

(インド)

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