ムンバイメトロ、駅から民間ビルなどへのアクセス通路設置を許可

(インド)

ムンバイ発

2020年01月24日

インド中西部マハーラーシュトラ(MH)州のムンバイ都市圏開発公社(MMRDA)は1月13日、建設工事中のムンバイメトロ2号線の駅と周辺の民間商業ビルなどとの間にアクセス通路を設けることを許可すると発表した(「タイムズ・オブ・インディア」紙1月14日)。許可したのは、2号線の駅からほど近い2つのモールと日系企業も集積するビジネス街バンドラ・クルラ・コンプレックス(BKC)のビルとの間で、建設費は民間施設まではメトロ運営会社、民間施設内の設備は事業者側が負担する。今回のMMRDAの事業に対し、これまでに12件の入札があったという(「ヒンドゥスタン・タイムズ」紙1月14日)。駅から周辺ビルへのアクセス通路はインドであまり見られないインフラで、通勤環境の改善や駅を中心とした沿線開発の呼び水となることが見込まれる。

ムンバイメトロ2号線はムンバイ北部郊外から中央部を通って東部を結ぶ路線で、2020年夏の開業を目指しており、すでに営業している1号線と同様に、2号線も地下鉄ではなく地上や高架を走る路線だ。

インドの駅周辺はこれまで、日本のような駅ビルやそれを取り囲む施設があるわけではなく、必ずしも治安や環境が良い場所ではなかった。一方で、近年の駅開発では、ムンバイ近郊ナビ・ムンバイ駅のように大規模モールと直結する計画が進められたり、デリーメトロのネループレイス駅のようにレストランなどのテナントが多く入居する日本の「駅ナカ」的な開発が行われるなど、駅開発の方向性が変わりつつある。

現在工事が進むムンバイとグジャラート州アーメダバード間を結ぶ「新幹線計画」を含め、インドでは路線のみでなく、駅を含めた周辺の環境改善や開発に力が入れられ始めている。今回のMMRDAの決定は、駅と民間施設間のアクセス通路の整備だけだが、中央政府や州政府が民間事業者と積極的に協力し、沿線の開発を進めている好例といえる。このような開発は日系鉄道事業者や不動産事業者が得意とする分野であり、インド政府や州政府のこうした取り組みは日系企業の商機となることが期待される。

(比佐建二郎)

(インド)

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