マヤ観光鉄道、第1フェーズの建設入札を開始

(メキシコ)

メキシコ発

2020年01月16日

メキシコ国家観光振興基金(FONATUR)は1月10日、マヤ観光鉄道(2018年12月25日記事参照)の建設入札について、第1フェーズの入札を開始した。FONATURは2019年12月16日に、基礎調査を終えて建設可能と判断された区間については、1月上旬から順次、建設入札を開始すると発表していた。今回、第1フェーズとして建設入札が開始された区間は、マヤ文明の遺跡で著名なチアパス州パレンケからユカタン州の州都メリダを経由してイサマルを通り、カリブ海に面したリゾート地のキンタナロー州トゥルムを経由しカンクンまで行く北部ルート。本ルートのうち730キロは既存の路線が存在することもあり、第1フェーズとして建設に取り掛かるとしている。本区間については、表のとおり6つの区間・分野に分割され、1月から入札が開始されている。

表 マヤ観光鉄道の第1フェーズ建設入札スケジュール

最も利用者が多いとみられているカンクン~トゥルム間と、トゥルム~メリダ間については、複線の建設を予定。各区間の入札内容としては、建設プロジェクトの作成、区間整備ならびに駅のプラットホームについて原材料の調達と建設が含まれ、4月30日からプロジェクトを開始する。また、第1フェーズから除外されている、カンペチェ州エスカルセガからカラクムル、バカラルを通じてトゥルムまで達する南部ルートについては、今後数カ月以内に入札が開始されるとした。

本プロジェクトについては既に18の企業・グループが入札意向を示しており、その中には、世界的富豪である、メキシコのカルロス・スリム氏が率いるグルーポ・カルソ(Grupo Carso)、 メキシコ大手ゼネコンのICA、同じくメキシコのゼネコンのプロデメックス(Prodemex)やココナル(Coconal)、スペインのインフラ企業のサシル(Sacyr)やアクシオナ(Acciona)、メキシコの鉱山および鉄道会社のグルーポ・メヒコ(Grupo México)のほか、中国交通建設などが含まれている(「ミレニオ」紙電子版1月13日)。

なお、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、マヤ観光鉄道建設の総工費約1,200億ペソ(約6,960億円、1ペソ=約5.8円)のうち、約600億ペソについては当プロジェクトに関連する観光客からの税収での補填(ほてん)が保証されているとしている。

(中井健太)

(メキシコ)

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