政府調達協定(GPA)加盟方針を発表、調達コスト削減や汚職防止狙う

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年01月31日

パウロ・ゲデス経済相は1月21日、世界経済フォーラム年次会合(ダボス会議)で、ブラジルがWTO政府調達協定(GPA)に加盟する方針を発表した。これに呼応するかたちでジャイール・ボルソナーロ大統領は1月23日、「GPA加盟方針を承認した。納税者を尊重し、年間1兆7,000億レアル(約44兆2,000億円、1レアル=約26円)のブラジル政府調達市場を開放し、入札の透明性を向上させ、国際競争を拡大する」と自身のツイッターを通じてツイートしている。例えば、ブラジルでは現在、1993年入札法8,666号に基づき、外国企業が国内企業とコンソーシアムを組まずに政府調達に参加する場合は、外国企業の参加を承認する大統領令の制定が必要となっている。

今回の発表は、ブラジル政府としてGPA加盟方針を固めたことを意味する。今後は加盟申請や交渉、協定締結を経て、連邦議会での批准のプロセスをたどることになりそうだ。

ゲデス経済相は、GPA加盟に向けたタイムスケジュールを明らかにしていないが、1月22日付「エスタード」紙で、直近では2019年5月に加盟したオーストラリアが政権交代によって加盟に5年を要した、と紹介。一方で、同国と比較してブラジルは産業構造が複雑で保護主義的だと指摘し、オーストラリアのケースが当てはまるわけではないが、いずれにしても加盟には時間がかかるとの見方を示している。

ゲデス経済相は、ブラジルでの汚職の多くが公共工事や請負業者との取引に関連しており、GPA加盟は汚職への正面攻撃だと強調。優れた慣行を実践するために、GPAという1次リーグへの加盟を望んでいると語った。また、ゲデス経済相は、GPAは世界中から政府調達を行う優れた仕組みで、「あなたの当選を支援するから、後で公共資金を提供してほしい」とする今までの選挙約束は成り立たないとコメントしている。経済相はモノ、サービス、公共工事全ての政府調達を外国企業に開放することにしており、調達先を増やして競争力のある調達価格にすると説明。政府調達の対象は連邦政府のみならず、州や市に至る全ての自治体、公営の企業や財団も対象になるとの意向を示している。政府調達の例外分野についての言及はないが、当地報道では、軍事や医療を対象とするのは困難との関係筋の見方を紹介している。

ブラジルは、ミシェル・テーメル政権時代の2017年11月から、GPAのオブザーバーメンバーになって情報収集を行っていた。GPAには現在、48カ国地域が加盟するが、中南米諸国ではGPA加盟国はない。オブザーバーにはブラジルのほか、チリ、アルゼンチン、コスタリカ、パラグアイ、エクアドルが加わっている。今回のブラジル政府によるGPA加盟方針発表は、中南米各国に影響を与える可能性もありそうだ。

(大久保敦)

(ブラジル)

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