2020年7月から国内銀行の自己資本比率を引き上げへ

(ニュージーランド)

オークランド発

2020年01月08日

ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行に相当)は2019年12月5日、国内銀行に自己資本比率の引き上げを求める新たな規制を決定したと発表した。2020年7月から施行され、2027年7月までの達成が求められる。RBNZは2017年から、国内銀行の自己資本比率に関しての検討を進め、銀行などとの協議やパブリックコメント募集を実施してきた。なお、12月19日には当該規制の詳細や関連資料も発表された。

今回の決定により、ニュージーランド国内銀行の自己資本比率の最低基準は、現行の10.5%から大手4銀行(注)は18%に、その他銀行は16%に引き上げられる。

RBNZによれば、国内銀行の自己資本比率は平均14.1%となっている。

RBNZは2019年8月、政策金利を1.0%に引き下げ(2019年8月19日記事参照)、経済成長を下支えする金融政策を実行する中で、今回の自己資本比率の引き上げは銀行の貸出金利引き上げにつながりかねないことから、達成期限を当初案の5年から7年に変更するなど、経済情勢への一定の配慮がされた。

今回の決定には、ニュージーランドの4大銀行はいずれもオーストラリア資本で、ニュージーランド国内銀行の融資残高の86%を占め、配当金はオーストラリアを中心とした国外に流れている側面もある。RBNZは、国内の銀行資本をニュージーランド国内に一定程度残すことで、金融リスクへの対応力の強化を図ろうとしている。

(注)ASB銀行(ASB)、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)、ウエストパック銀行(Westpac)、ニュージーランド銀行(BNZ)の4銀行のこと。

(奥貴史)

(ニュージーランド)

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