2019年の社債不履行額が4年前の約12倍に急拡大

(中国)

上海発

2020年01月10日

金融調査会社の万得信息技術(Wind)によると、2019年の中国の債務不履行の社債総額は前年比17.7%増の1,424億800万元(約2兆2,785億2,800万円、1元=約16円)に達し、2015年比で約12倍に拡大した(表参照)。資金繰りが苦しくなった企業が急増した背景には、中国の景気減速に加え、米中貿易摩擦による影響などが追い打ちをかけたとみられる。

表 債務不履行の社債推移

2014~2018年の債務不履行の事例は主に化学工業や機械設備などの製造業に集中していたが、2019年は製造業(全体の35.6%)のほか、小売り・卸売り(19.5%)、農林水産(14.6%)、交通運送・倉庫(8.9%)と、他業種の不履行も目立つようになった。

債務不履行企業の本拠地別にみると、北京市が2018年に続き最多で、江蘇省、遼寧省が続いた。

デフォルトには国有企業も

民営企業による債務不履行が大半を占めているが、税収や補助金などの優遇措置を受ける国有企業も債務不履行に陥る例が増えた。2019年12月、総資産3,000億元を超え、傘下に上場企業6社を持つIT系国有企業の北大方正集団の社債返済が滞る事例が発生しており、国有企業全般の財務状況に対する懸念が広まっている。

(劉元森)

(中国)

ビジネス短信 7ea6316c7194c4fc