料理宅配大手のゾマト、ウーバーイーツのインド事業を買収へ

(インド)

ベンガルール発

2020年01月31日

ユニコーン(注)企業で地場料理宅配事業大手のゾマト(Zomato)は、1月21日に公式メディア「Zomato blog外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、米国シェアライド大手のウーバーテクノロジーズが展開する同業ウーバーイーツのインド事業を買収することを発表した。インド国内で競争が激化する料理宅配サービス市場の中で、生き残りをかけた重要な買収となりそうだ。ゾマトは、インド国内最大のライバルであるスウィギーの後塵(こうじん)を拝していたが、この買収によって、2019年12月のオーダー量から推定すると、52%のマーケットシェアを獲得するとみられており、スウィギーの43%を上回る見込みという(「タイムズ・オブ・インディア」紙1月21日)。

ゾマトはインドのユニコーンの1つで、2008年に創業し、レストランのレビュー、紹介および宅配事業を展開している。現在、世界24カ国、150万以上のレストラン情報が登録されており、月間ユーザー数は7,000万人といわれている。インド国内では、2019年までに550以上の都市でサービスを開始しているが、競合はスウィギー、ウーバーイーツのみならず、地場配車サービスのオラが展開するフードパンダなどの参画もあり、競争が激化してきている。

料理宅配サービスへの需要の高まりを背景に、最近では「クラウドキッチン」と呼ばれる、飲食スペースを持たないデリバリー専門店の形態も増え始めている。こういった外食ビジネスの形態の変化に合わせ、ゾマトは、「ゾマトインフラストラクチャーサービス(ZIS)」を立ち上げ、クラウドキッチン事業者を支援しており、ゾマトがキッチンスペースを提供したり、ゾマト内に蓄積された購入データ(POS)を利用した最適立地の検討や、新メニュー考案などのサービスを提供している。

今後、料理宅配サービスを中心に、デジタル技術やデータの活用が進み、食品業界に大きな変革が進むとみられる。一方、インド国内では、コールドチェーンを含め、ロジスティクス面のインフラ未整備が課題となっており、官民によるインフラ投資にも期待が寄せられている。

(注)企業価値が10億ドル以上の未上場のスタートアップ。

(遠藤壮一郎)

(インド)

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