トランプ米政権、イランと石油製品取引のある外国籍企業6社を制裁対象に指定

(米国、イラン、中国、香港、アラブ首長国連邦)

ニューヨーク発

2020年01月27日

米国務省と財務省は1月23日、イランと石油製品の取引やイランの原油輸出を支援したとして、中国や香港などに籍を置く企業6社と一部の経営陣を制裁対象に指定した。米イラン関係が緊張を高める中、米国はイラン政府の資金源を断つ目的で、複数の産業で同国に関与する外国企業への制裁を強化している。

国務省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、イラン産の石油化学製品の購入・販売やイラン国営石油会社(NIOC)への関与や支援があるとして、中国に籍を置く山東斉旺達石油化工(Shandong Qiwangda Petrochemical)や、香港に拠点を置く衆祥石化(Triliance Petrochemical)、アラブ首長国連邦(UAE)のベニスコDMCC(Beneathco DMCC)など計6社が制裁対象に指定された。また、指定企業の経営陣の一部計2人も制裁対象に加えられた(注1)。今回の措置は2018年8月に発表された大統領令13846PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に基づくもので、制裁対象となると、米国内に保有する資産が凍結される。また、「米国人(United States person)」(注2)は、制裁対象の企業や個人と取引することを禁じられる。外国の金融機関や個人が今回制裁対象に指定された法人・個人を支援したような場合も、同様の制裁が科される。

米政府は、1月上旬のイランによるイラク内の米軍が駐留する基地へのミサイル攻撃以降、イランと鉄アルミ関連取引を行う外国籍の企業を制裁対象に指定しており(2020年1月14日記事参照)、今回は石油製品に関する取引に対象を広げた。イランの主要な輸出品目(石油・原油を除く)は、液化プロパンなどの天然ガスのほか、ポリエチレンなどの石油由来の化学製品が含まれ、今回の制裁は石油化学製品を通じたイランの外貨獲得を阻止する狙いがあるとみられる(2019年5月10日記事参照)。

マイク・ポンぺオ国務長官は「イランが行動を変えない限り、制裁を維持する」としており、石油関連企業に対してイラン政府に資する取引に関与しないよう警告している。

(注1)今回指定された制裁対象は米財務省外国資産管理局のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

(注2)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権がおよぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(藪恭兵)

(米国、イラン、中国、香港、アラブ首長国連邦)

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