EU離脱協定に関する英国の批准手続きが完了

(英国、EU)

ロンドン発

2020年01月24日

英国のEU離脱(ブレグジット)実現に必要となるEU離脱協定法が1月23日午後、エリザベス女王の裁可を得て成立した。同法には、2019年10月にEUと合意(2019年10月18日記事参照)した離脱協定案の議会承認を義務付ける2018年EU離脱法の規定を無効にする規定が含まれており、ボリス・ジョンソン首相が翌24日にEU離脱協定案に署名したため、英国の批准手続きは完了し、ブレグジットをめぐる議会の混乱も終わりを迎えた。

EU離脱協定法案は1月9日に下院を通過した(2020年1月10日記事参照)。しかし、翌週から審議を始めた上院は20日と21日、在英EU市民の永住権保障、英国の下級裁判所によるEU法からの逸脱の制限(2点)、子供難民とその保護者の家族再統合、英国議会の権限と地方分権の整合性、の5点に関する修正動議を、政府の意向に反して可決。これに対し与党・保守党が数に勝る下院は22日、上院の各修正点を無効にする政府の動議5つを全て大差で可決した。上院は慣例に従い、下院での採決結果を受け入れ、同法案は政府が2019年12月に提出した(2019年12月23日記事参照)内容のまま法制化された。ジョンソン首相は1月23日、「離脱協定(法案)は女王裁可を受け、法律になった。われわれは1月31日にEUから離脱する」とツイート。事実上の勝利宣言となった。

英国でEU離脱協定法が成立してほどなく、EU側では欧州議会の欧州議会憲法問題委員会(AFCO)(注)が同日、英EU間で合意した離脱協定案を同議会が承認することを推奨する決議を可決。1月29日に予定される同議会本会議とEU理事会での採決を経て、EU側の批准手続きは完了する(2020年1月24日記事参照)。

(注)欧州議会において、欧州統合プロセスの機構的側面を俯瞰し、必要に応じて条約改正などを担当する委員会。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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