世界に対してオープンであり続けるべき、シンガポール首相が新年メッセージ

(シンガポール)

シンガポール発

2020年01月07日

シンガポールのリー・シェンロン首相は2019年12月31日、2020年の国民へのメッセージで、米中貿易摩擦のほか、世界中でグローバル化が後退しているようだが、同国が「内向き志向に向かう誘惑を退けるべきだ。世界に対して常にオープンで、つながりを維持する必要がある」と訴えた。

リー首相は「グローバル化はシンガポールに多大な恩恵をもたらした」と述べ、「シンガポールが内向きになってしまえば、生き抜くことはできない」と強調した。同首相は、同国が何十年にわたり国民の生活を改善してきたことから、ほかの多くの国々よりも良い状況にあると述べた。同首相は政府のこれまでの取り組みとして、保育園の学費引き下げや小学校卒業試験の変更など教育改革のほか、公共住宅を購入する際の補助の拡充、高齢者の医療費支援、病院施設の拡充、大量高速鉄道(MRT)の改善と新線の敷設工事などを挙げた。

2020年度予算案において、企業と労働者を支援

リー首相は2020年度(2020年4月~2021年3月)予算案について、「企業が生産性を引き上げ、新たな能力を構築するための支援を行う」との考えを示した。また、労働者についても、特に専門職・管理職・幹部・技術職(PMET)の中間キャリアを再訓練して再雇用を支援するとともに、家庭に対しても生活費の負担を軽減すると述べた。さらに、貧困者や高齢者、社会弱者を守るためのセーフティネットを改善すると語った。

なお、2020年度予算案は、ヘン・スイキャット副首相兼財務相が2月18日に国会で発表する予定だ。

(本田智津絵)

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