国立経済社会開発銀行、3カ年の戦略課題を発表

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年01月07日

ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)は12月18日、2020~2022年の3カ年で達成すべき15件の戦略課題を発表した。BNDESはブラジルの発展に貢献する長期融資を行うことができる唯一の連邦政府系金融機関だ。

戦略課題はいずれもブラジル経済の主要課題であり、BNDESが取り組むインフラや生産の高度化、教育・医療・治安の向上など長期的な戦略目的に沿っている。BNDES単独での課題達成は困難なため、他の機関などとパートナーシップを組んで取り組むとしている。BNDESは、15件全ての戦略課題は国連が策定した持続可能な開発目標(SDGs)に合致すると強調している。

15件の戦略課題の中には、BNDESがプロジェクトの案件形成まで支援するものと、エクイティファイナンス支援や保証供与などファイナンス支援で対応するものと2種類ある。

戦略課題は以下のとおり。

【案件形成支援】

(1)上下水の未普及地域での新規プロジェクト構築(計2,000万人を対象)

(2)公共港湾施設の運営民営化と道路コンセッションのプロジェクト構築(対象:港湾は貿易量の3割相当、道路は計2万キロ)

(3)公共照明サービスに関するプロジェクトの構築(計1,400万人対象)

(4)公営企業売却(対象:国営企業15社、州営企業15社)

(5)不動産ファンドの構築(対象:4ファンド)

【ファイナンス支援】

(6)再生可能エネルギー設備能力の拡大(対象:計2.0ギガワット)と天然ガス流通網の拡大(対象:計1,600キロ)

(7)鉄道路線と高速道路の敷設、複線化(片側2車線化)または近代化(対象:鉄道路線は計2,500キロ、高速道路は計5,000キロ)

(8)都市交通新システムの構築(最大で計100万人/通常労働日の都市が対象)

(9)上下水道網の拡大(対象:下水網550万人分、上水網90万人分)

(10)固定ブロードバンドサービス拡大(対象:250万世帯、800万人相当)

(11)基礎および専門家育成を目的としたBNDES金融商品の提供(対象:100万人の生徒)

(12)統一保険医療システム(SUS)の公共医療センター建設と近代化(対象:計150カ所)

(13)国内で特に治安が悪いとされる自治体の公安インテリジェントサービスの改善や効率化プロジェクトの構築(対象:20プロジェクト)

(14)直接および間接的な雇用の創出・維持(対象:年平均120万人)

(15)中小零細企業および個人への支援(対象:計45万社・人)

(大久保敦)

(ブラジル)

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