ニッケル産業ロードマップを作成へ

(フィリピン)

マニラ発

2020年01月17日

フィリピン・ニッケル産業協会(PNIA)は1月3日、ニッケル産業ロードマップの作成に向けて、貿易産業省、環境天然資源省、民間企業、NGO、大学などから成るワーキンググループを設立すると発表した。1月6日付で「ビジネスワールド」ほか、地元各紙が報じた。

PNIAのオレア・キャピリ会長によると、産業ロードマップの作成によって、ニッケル産業が政府の投資優先計画(IPP)で定められる投資奨励事業分野に組み込まれ、国内のニッケル工場が各種優遇措置を受けることになる。

2018年のニッケル鉱石生産量は、インドネシアが56万トンと世界最大で、フィリピンは34万トンで2位だったが、インドネシア政府がニッケル鉱石の輸出を2020年1月から禁止することで、中小企業中心にニッケル鉱石の生産量を控えるとみられる結果、フィリピンは2020年に世界最大のニッケル生産国となる見通しだ。

キャピリ会長は、ニッケル産業がIPPの投資奨励事業分野となり、今後拡大する世界の電気自動車(EV)市場を開拓することにより、国内のニッケル産業は200万人の新規雇用を創出するとした。PNIAは2019年11月、中国のバッテリー関連企業で構成される中国化学物理電源業界協会(CIAPS)との間で、中国のEV市場開拓のための覚書を締結している(2019年12月3日記事参照)。

キャピリ会長はさらに、フィリピン国内の地方自治体においても現在、燃料機関の自動車が大多数な公共交通車両を環境負荷の少ないEVに置き換える動きが加速しており、開拓するEV市場は国外だけではないとした。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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