丸紅とJFEエンジニアリング、モスクワ郊外の日本種イチゴ栽培温室向けの機材を受注

(ロシア、日本)

欧州ロシアCIS課

2020年01月06日

丸紅とJFEエンジニアリングは12月17日、ロシアの不動産開発や温室運営を行うビクトリア・エステート(VE)のグループ会社ソフホズ・エレクトロスタルスキー(SE)から、モスクワ郊外の日本種イチゴ栽培用温室の機材供給案件を受注し、売買契約を締結したと発表した。温室の設計と機材供給はJFEエンジニアリングが行う。

丸紅とJEFエンジニアリングのプレスリリース(12月17日)によると、今回の案件は、ロシア市場での高品質なイチゴのニーズの高まりを受け、VEグループが所有するモスクワ州東部のエレクトロスタリ市ビクトリア産業団地で、日本種イチゴを栽培する温室の建設計画を立ち上げたことに基づくもの。建設工事は全3期(30ヘクタール規模)で段階的に建設される予定。丸紅とJFEエンジニアリングは第1期工事分として10ヘクタール分の温室機材を供給。2020年9月に船積みを開始し、2021年4月の完工予定としている。

JFEエンジニアリングは北海道で自社技術を応用した温室での高付加価値農作物の栽培・運営を行っており、これを通じて獲得した知見を活用し、2021年に温室が完成後もVEグループで日本種イチゴの栽培指導を行うとし、丸紅は世界各地でのプラント建設や機材供給の実績と経験を生かし、事業の円滑な推進に努めるとしている。

農業専門誌「アグロインベストル」(6月7日)によると、今回のイチゴ温室栽培案件は、2018年10月にモスクワで開催された農業展示会「黄金の秋(ゾロタヤ・オセニ)」でモスクワ州農業食品省とSEが締結したイチゴ栽培プロジェクトに関する合意に基づく案件のようだ。10億ルーブル(約18億円、1ルーブル=約1.8円)を投じて10ヘクタール規模の温室栽培施設を建設するとしているが、合意が署名された時点では、日本、韓国、イタリアのいずれの技術を採用するかは決まっていなかった。

モスクワ州のアンドレイ・ラジン農業食品相は同州のイチゴ栽培について、2019年に1,500トンの収穫と見込んでいるが、今後4~5年間で3,000~5,000トン増大する潜在力がある発言。市場調査会社ビジネススタットによると、2018年のロシア全土のベリー類の販売量は126万トン。うち、ブドウが53万6,200トン(42.6%)、フサスグリ22万9,300トン(18.2%)、イチゴ14万500トン(11.2%)のようだ(「アグロインベストル」6月7日)。

(齋藤寛)

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