中国・パキスタンFTAの第2フェーズが発効

(パキスタン、中国)

カラチ発

2020年01月31日

中国・パキスタン自由貿易協定(FTA)の第2フェーズが1月1日、発効した。同FTAは2005年から交渉が開始され、アーリー・ハーベストが2006年から実施された後、2007年から2012年にかけて第1フェーズによる関税削減スケジュールが行われた。しかし、その後、パキスタンの対中国貿易赤字が大幅に拡大したため、パキスタンの政財界で「期待に沿う内容でなかった」と見直しを求める声が強く、第2フェーズの交渉は難航していた。今回、第1フェーズのスケジュール完了から、7年越しでの実現となった。

パキスタンの対中輸出の倍増を期待

パキスタン商業・繊維省によると、第2フェーズでは中国側は10年、パキスタン側は15年をかけて、互いに75%の関税品目を自由化する。また中国側は、繊維製品・衣類、肉類、加工食品、皮革製品、化学品、プラスチック製品、トラクター、自動車部品など313品目の関税を即時撤廃する。

外資系企業を含む、パキスタンの大手企業で構成されるシンクタンクのパキスタン・ビジネス・カウンシル(PBC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、「第2フェーズ発効により、パキスタンの輸出企業が中国市場へアクセスしやすくなり、パキスタンの貿易赤字の改善に資する」と評価している。第2フェーズにより、中国がパキスタンに譲許するのは8,238品目(HSコード8桁ベース)で、そのうち1,035品目は輸入実績がないため、実質的には残り7,203品目で自由化の恩恵が期待できる。PBCは、そうした品目について「パキスタンは、中国のほかの主要貿易相手国と同等か、それ以上の優遇を受けることになる」とする。

なお、パキスタンから中国への輸出額(2018年)は18億1,800万ドルだが、当地主要経済紙「ビジネス・レコーダー」は、「第2フェーズが発効すれば40億~60億ドルに増加することが期待できる」と試算している(2019年5月24日付)。

(久木治)

(パキスタン、中国)

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