欧州産業連盟、EUの対中関係見直しを提言

(EU、中国)

ブリュッセル発

2020年01月17日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は1月16日、中国に対してその構造問題や市場歪曲(わいきょく)的慣行の改善を求める意見書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を明らかにした。中国の国家主導経済が中国国内だけでなく、EUなど第三国での市場歪曲を引き起こしていると指摘、こうした中国側の問題の結果、欧州企業は潜在的な競争力を発揮できていないとの認識を示した。欧州産業界としては、事態改善に向けた中国側の取り組みを促す姿勢だが、国家主導経済により引き起こされる市場歪曲や問題の緩和のため、EUに対し、中国との経済関係再考も視野に入れるよう迫っている。

在中国・欧州企業は「一帯一路」プロジェクト入札の不透明性を問題視

中国との経済関係での立場を強固で公正なものにするため、ビジネスヨーロッパがEUに求める目標は次のとおり。

  1. 中国とEUの間の公平な競争条件の確保
  2. 中国政府主導の市場歪曲(ジェトロ調査レポート「中国経済における市場歪曲の実態と分析」参照)の影響緩和
  3. EU自身の競争力強化
  4. 第三国市場における公正な競争と協力の担保

ビジネスヨーロッパのマルクス・バイラー事務総長は、中国の構造的問題を放置することは許されないとの認識を示し、「中国とどう付き合うべきか、公正な経済関係・公平な競争条件を確保するため、EUは再考すべき」とコメントしている。

なお、在中国・EU商工会議所に相当する中国EU商会は同日、欧州企業による中国の「一帯一路」プロジェクトへの参画状況に関する調査報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。会員企業に対する意識調査の結果、回答企業132社の中で、プロジェクトに関わる入札に参画できた企業は20社(15.2%)にとどまるとの実態が明らかになったとしている。参画が難しい要因として、回答企業の多くが「入札情報とプロセスの不透明性」を挙げているという。

プロジェクトに参画できた企業の中で、公開情報に基づいて応札した企業は2社にとどまり、そのほかの参画企業は「(中国側)現地パートナーや現地政府の支援で参画できた」と回答しているという。

(前田篤穂)

(EU、中国)

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