大統領選挙で中道右派が勝利、15年続いた左派政権が交代へ

(ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2019年12月06日

ウルグアイ選挙管理委員会は11月30日、同月24日に行われた大統領選挙の決選投票で、中道右派「国民党」のルイス・ラカジェ・ポウ前上院議員が当選したと発表した。即日開票されていたが、中道左派で連立与党「拡大戦線(FA)」のダニエル・マルティネス候補(前モンテビデオ県知事)との得票率の差がわずかだったため、確定までに時間を要していた(2019年11月25日記事参照)。

選管の公式発表によると、ラカジェ・ポウ候補は118万9,313票(得票率48.87%)で、マルティネス候補の115万2,271票(同47.35%)を僅差で破った。この結果、2005年から15年間続いたホセ・ムヒカ前大統領とタバレ・バスケス現大統領が率いた中道左派政権が終焉(しゅうえん)することになった。

当選したラカジェ・ポウ氏は46歳の弁護士。ルイス・アルベルト・ラカジェ元大統領(1990~1995年在任)の子息で、2000年から2019年にかけて下院議員と上院議員を務めた。副大統領にはベアトリス・アルギモン氏が就任する。ラカジェ・ポウ氏とともに選挙を戦った同氏は、ウルグアイ史上初の選挙で当選した女性副大統領となる。

今回の決選投票では、野党の国民党は「コロラド党」(中道右派)、「カビルド・アビエルト党」(右派新興政党)、「独立党」(中道左派)などの支持を取り込み、全野党によって構成する「多色連合」を作り上げることで有権者の支持を得た。

ウルグアイ経済は2003年からプラス成長を維持し、2019年のGDP成長率も2%の見込み。しかし、2015年からは成長に減速が見られ、失業率の上昇や財政赤字、治安の悪化なども懸案事項となっており、野党連合はこれらの改善を図ることに合意している。そのほか、国家の改革や透明化の向上、国営企業の再編、財政収支の改善、競争力強化、治安・教育・医療・環境の改善などが新たな取り組みに含まれている。

新政権は2020年3月1日に発足する予定で、任期は5年。閣僚は今後発表される予定。既に経済・財務相としてエコノミストのアスセナ・アルベレチェ氏が挙げられている。12月1日付「エル・パイス」紙によると、外相には、決選投票でラカジェ・ポウ氏を支持し、当選に大きく貢献したコロラド党のエルネスト・タルビ氏が任命される予定。同氏は「貿易を重視した外交」を目指し、「ウルグアイはブラジルとアルゼンチンの間で仲介役を務め、他国との貿易協定を可能とする柔軟性のある近代的なメルコスールを目指す」との新政権の方針を明らかにしている。

(山木シルビア)

(ウルグアイ)

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