マハーラーシュトラ州、政権樹立するも情勢はいまだ不安定

(インド)

ムンバイ発

2019年12月06日

インド・マハーラーシュトラ(MH)州の地域政党シブセナと、同州を主な地盤とする国民会議党(NCP)、国民会議派(INC)の野党3党は11月28日、連立政権を樹立し、シブセナ党総裁のウッダブ・タークレー氏が州首相に就任した。10月の州議会選挙の後、首相選出で混乱が続いてきた(表参照)。

州議選で議席を減らしたインド人民党(BJP)とシブセナはそれまでの連立を解消し、11月8日に少数与党BJPを率いるファドナビス州首相が辞任した。その後、シブセナとNCP、INCの野党間で連立交渉を行ったが合意に至らず、MH州は11月12日、インド憲法に沿って「大統領による統治」に入った(2019年11月22日記事参照)。これに対し、コシャリMH州知事は23日、大統領統治無効化の手続きをとった。これを受けて同日、ファドナビス前州首相と第3党NCPのアジット・パワル氏(シャラド・パワルNCP総裁のおい)が首相・副首相就任の宣誓式を行い、ファドナビス氏は再び州首相に就任した。

しかし、NCPを含む野党3党は就任宣誓式を突如強行した2人に対し、この政権が過半数支持を得ていないことを訴え、最高裁に不服を申し立てた。特にシャラド・パワルNCP総裁はアジット氏の行動は党の意思によるものではなく、あくまで独自行動だと批判した。

申し立てを受けた最高裁はファドナビス政権に、11月27日までに州議会での過半数支持を証明するよう命じた。これに対して、アジット・パワル副首相が辞意を示したことで、BJPだけでは過半数支持の証明ができないファドナビス州首相も再び辞任した。

野党3党の連立意思が明確になってその連立政権が11月28日に誕生、州首相に第2党シブセナのタークレー総裁が就任した。しかし、タークレー新首相は州議員ではなく、6カ月以内に選挙などで正式に選出されなければ首相を続投できない。新首相の選挙や副首相・組閣人事がこれから続くわけで、依然としてMH州は不安定な状況にあるといえる。

表 州議会選挙後のマハーラーシュトラ州の政局動向

(比佐建二郎、サンジャイ・バティア)

(インド)

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