フェルナンデス次期政権、閣僚人事を発表

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年12月10日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス次期大統領は12月10日の新政権発足を前にした6日、閣僚人事を発表した(表参照)。また、既にIMFとの債務再編交渉に取り組んでいると述べた。

経済相にはマルティン・グスマン氏(37歳)が就任する。経済回復に向けた政策や債務返済に関連し、経済相の人選には特に注目が集まっていた。同氏は、ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏に師事し、マクロ経済と公共債務を専門とするエコノミスト。経済相任命前のインタビューでは、速やかに取り組むべき課題は債務再編で、IMFに対し元利払いを2年延期する交渉を進めていくと発言していた。

工業生産開発相にはエコノミストのマティアス・クルファス氏(47歳)が就任する。外務省とともに、国内市場と輸出の拡大を通じた経済の活性化が最大の目的とされる。雇用の創出や製造業の復活、中小企業の発展、知識経済分野の開発、家庭向け省エネ政策の「グリーンディール」に取り組むことなどを最優先する。

中央銀行総裁には、2004年から2015年まで同行副総裁を務めたミゲル・ペッシェ氏(57歳)が就任する。実用主義(プラグマティズム)を重んじ、資本規制の継続と補助金などを利用した産業の活性化などに取り組むとみられる。

フェルナンデス次期大統領は閣僚人事発表後の記者会見で、インフレ対策では「価格統制を行う必要はない」としたものの、数カ月間は電気・ガスなどの公共料金は引き上げないとの方針を次期エネルギー長官を通じて表明した。また、定年退職者や低所得層、公務員向けに特別ボーナスの支払いを考えていることを明らかにし、「現状から抜け出すには、国民全体の努力が必要になる」と訴えた。

表 アルベルト・フェルナンデス内閣の閣僚名簿

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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