第3四半期GDP成長率は前期比0.4%の微増

(オーストラリア)

シドニー発

2019年12月06日

オーストラリア統計局(ABS)は12月4日、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前年同期比1.7%になったと発表した。オーストラリアは現在、113四半期連続で景気後退(2四半期連続のマイナス成長)がない期間の世界最長記録を更新し続けているものの、2009年以来約10年ぶりの低水準にとどまった前期(2019年9月12日記事参照)に比べると、わずか0.4%の伸びとなった。

需要項目別の実質GDPを前期比でみると、公的資本形成は1.9%増だったものの、民間住宅は1.7%減で、国内総固定資本形成は0.2%減となった(添付資料表1参照)。また、財貨・サービスの輸入は0.2%減だった。他方、高齢者介護などのヘルスケアサービスへの継続的な投資によって、政府最終消費支出が0.9%増だったほか、財貨・サービスの輸出が0.7%増、民間最終消費支出が0.1%増となり、全体ではプラス成長を達成した。

産業別にみると、長引く干ばつの影響によって、農林水産業が前期比2.1%減となったほか、卸売業(0.7%減)、製造業(0.6%減)、運輸・郵便・倉庫業(0.4%減)などが減少した(添付資料表2参照)。他方、海外の資源需要に牽引されて、鉱業が0.7%増となったほか、医療サービス業(2.6%増)、専門・科学技術サービス業(1.3%増)、情報通信業(0.8%増)、建設業(0.5%増)などが増加した。

ジョシュ・フライデンバーグ財務相は「国内外からの強い逆風を受けてもなお、オーストラリア経済は強靭(きょうじん)さを保ち続けている」と述べた。また、家計貯蓄率が前期比4.8%増と大きく伸びたことに触れ、「所得税の引き下げが各家庭に経済的な安定をもたらし、オーストラリア経済を支えていく」と強調した。

政策金利は0.75%に据え置き

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は12月3日の理事会において、政策金利を過去最低の0.75%のまま据え置くことを決定した。RBAのフィリップ・ロウ総裁は「国内経済は緩やかな転換点に達しているが、引き続き、消費の伸び悩みや干ばつの影響、住宅建設市場の落ち込みが不確実要素で、低金利による金融政策の効果が表れるまでには長期かつ変動的な時間差が生じる」と述べ、「完全雇用およびインフレ目標の達成を支えるため、必要であれば、さらなる金融緩和を行う用意がある」としている。

(住裕美)

(オーストラリア)

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