輸出時の源泉税、1.00%から0.25%に引き下げ

(バングラデシュ)

ダッカ発

2019年12月03日

バングラデシュ国家歳入庁(NBR)は10月20日、輸出時にかかる源泉税を1.00%から0.25%に引き下げる通達(SRO)を発表した(添付資料参照、ジェトロがベンガル語から英語に仮訳)。この税率は通達発行日から2019/20年度(2019年7月~2020年6月)いっぱい有効となり、現時点では7月1日にはさかのぼらない。

輸出時の源泉税は輸出額(FOB)に対して計算され、最終的にはこの源泉税を法人税から控除して納税することができる。源泉税が法人税を上回った場合でも、差額の還付はない。

バングラデシュの輸出の8割以上を占める縫製業が2018/2019年度に比べ不調な状況が続いている。バングラデシュ輸出振興庁(EPB)の統計によると、2019年7~10月の縫製業の輸出額は前年度同期比で6.7%減となり、輸出額全体も6.8%減となった(表参照)。

表 2019/2020年度 7~10月の輸出額統計

このような状況に加え、2018年12月末に実施された総選挙の前に、縫製ワーカーの最低賃金が5,300タカ(約6,890円、1タカ=約1.3円)から8,000タカへ約51%上昇したことも受け、縫製品の業界団体のバングラデシュ縫製品製造輸出組合(BGMEA)が政府に働き掛けたことにより、年度途中で源泉税が0.25%に急きょ変更された。報道によると、NBRは税率の引き下げにより、縫製産業だけで2019/2020年度200億タカの税収減になるとしている。

この税率は縫製品以外の製品にも適用され、輸出志向型の企業にとっては追い風となる。NBRは2018年9月にも源泉税の税率を1.0%から0.6%に変更するなど、度重なる変更がなされるため(注)、政府の動向を注視する必要がある。

(注)源泉税の基本税率は1.0%であり、年度ごとに時限措置として引き下げが実施される場合がある。年度当初には税率が1.0%に戻る。

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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