ジェトロ、マグレブ3カ国スタートアップセミナーをパリで開催

(アルジェリア、チュニジア、モロッコ)

パリ発

2019年12月03日

ジェトロは11月14日、「マグレブ3カ国スタートアップセミナー」をパリで開催した。フランスやアフリカに進出する日系企業を中心に26人が参加した。アフリカのイノベーションやスタートアップ(以下、SU)への関心の高まりを背景に、マグレブ3カ国(モロッコ、チュニジア、アルジェリア)のSUの活動状況を包括的に理解する機会を提供した。

モロッコではロジスティック、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、アグリテック、チュニジアではビッグデータ、アグリテック、ソフトウエア開発、情報通信、ロボティック、アルジェリアではモビリティー、ロジスティック、eコマースなどを中心にSUが存在し、各国のSU支援の取り組みやエコシステムが形成されてきている。

第1部のモロッコ・セッションでは、自社開発のアプリを使って、家庭や商店、工場から使用済みの食用油・各種脂肪酸などを回収し、バイオ燃料として再利用できるシステムを構築したキリマンジャロ・エンバイロンメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、農業従事者に施肥、灌漑、収穫などにおける意思決定の参考になる情報を提供するソウィット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、自動二輪車運転手のヘルメットに取り付ける安全確保用AIデバイスを開発したキャスキー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが講演した。

第2部のチュニジア・セッションでは、ネクスト・プロテイン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが有機食品廃棄物を餌に繁殖させたアメリカ・ミズアブの幼虫からEU規格の高品質なオーガニックタンパク質を抽出し、魚の養殖・家畜用飼料・肥料を生産する活動内容を説明した。出張経費など領収書処理の煩雑さを解消し、労働コストを軽減するための経費処理を100%自動化するシステムを開発したエクスペンシア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますやトラック輸送の空走行を最大限回避し運送効率化を図るオンライン・プラットフォームを開発したオプティマロジスティック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも登壇した。

第3部のアルジェリア・セッションでは、クーファがアフリカ諸国のキオスク(小売店)を対象とした販売データの回収用ソフト組み込みスマートボックスを紹介した。回収データは在庫管理の効率化、ロジスティックコストの低減、サプライチェーンの合理化などに利用される。

セミナー参加者は商社やメーカー、金融VCなどの日系企業および関係者で、質疑応答やセミナー後の交流が積極的に行われ、参加者の関心の高さがうかがえた。アフリカSUの日本語による報道はケニアなどサブサハラの英語圏数カ国に限られる中、今回のセミナーを通してフランス語圏のマグレブ3カ国のSUとエコシステムの具体的な事業展開が紹介されたことに参加企業も大きく評価した。今後のビジネス連携につながることが期待される。

写真 パリで行われたマグレブ3カ国スタートアップセミナー(ジェトロ撮影)

パリで行われたマグレブ3カ国スタートアップセミナー(ジェトロ撮影)

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア、チュニジア、モロッコ)

ビジネス短信 b9c892ad61db8674