デモから2カ月余り、チリにおける小売業の現状

(チリ)

サンティアゴ発

2019年12月27日

チリで10月上旬に反政府デモが開始されてから2カ月余り。小売業大手各社は通常営業に戻りつつあるものの、一部の店舗においてはデモによる略奪や放火の被害が残り、営業を再開できない状態が続く。デモが暴徒化した直後、多くの小売店では、交通網のまひにより従業員の確保が困難だったこと、道路の一部封鎖で物流が滞ったこと、また略奪や放火被害の不安があったことから、休業や時短営業を行ったため、開店している数少ない店舗に客が押し寄せ、長蛇の列ができた。

写真 買い物に来た人で長蛇の列ができる様子(10月21日、ジェトロ撮影)

買い物に来た人で長蛇の列ができる様子(10月21日、ジェトロ撮影)

デモの発生から1カ月後に、チリ大学産業工学部の小売業研究センター(Ceret)が行った消費者調査の結果によると、回答者のうち54%がデモ開始直後と比べて自身の購買がデモ前の水準に戻ったと回答したが、デモによる混乱で普段必要のないものを購入したと回答した人は39%あり、62%が買い物へ行くまでにかかる時間がデモ前と比べ増加したと回答した。また、スーパーの休業が増えたことで、70%の人が露店(Feria)を利用したとの結果となった(「プルソ」紙12月16日)。

12月18日付「ディアリオ・フィナンシエロ」紙では、チリの大手スーパーマーケットチェーンの運営状況がまとめてられている。リデル(Lider)を運営するウォルマート・チリ(Walmart Chile)は、チリ全土384店舗中35店舗が焼損し、95店舗が一時休業した。被害が大きかった約10店舗については、閉鎖する意向を示している。ウニマルク(Unimarc)を運営するSMUは、店舗数全体の95%が稼働している状態で、焼損した店舗については解体作業を進めているとコメント。ファラベラ(Falabella)は、全69店舗あるトットゥス(Tottus)のうち、12店舗が略奪や放火による被害を受け、中でも被害の大きかった2店舗は閉鎖する予定だと発表している。

(佐藤竣平、岡戸美澪)

(チリ)

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