日本ウズベキスタンビジネスフォーラムを東京で開催

(ウズベキスタン、日本)

欧州ロシアCIS課

2019年12月17日

ジェトロは12月16日、在日ウズベキスタン大使館と共催で、東京都内で「日本ウズベキスタンビジネスフォーラム」を開催した。フォーラムは、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領の訪日の機を捉えて実施したもの。日本側、ウズベキスタン側合わせて約560人の官民関係者が参加した。

ウズベキスタンのサルドル・ウムルザコフ投資貿易相は、冒頭のあいさつで「今回のイベントは歴史的な出来事」と評し、ミルジヨエフ大統領による経済改革の下で、外国為替規制の緩和、税制改革などが立て続けに行われ、外国企業との合弁企業設立が倍増したと指摘。世界銀行、アジア開発銀行(ADB)などによる、5%超の堅調な経済成長予測に触れ、ビジネス環境改善の実績と展望を強調した。

写真 ウズベキスタンのサルドル・ウムルザコフ投資貿易相によるスピーチの様子(ジェトロ撮影)

ウズベキスタンのサルドル・ウムルザコフ投資貿易相によるスピーチの様子(ジェトロ撮影)

日本ウズベキスタン友好議員連盟会長の麻生太郎副総理兼財務相は、自身が1997年に日本の閣僚として初めてウズベキスタンを訪問した際のエピソードを紹介。日本人捕虜が建設に従事したタシケントのナボイ劇場が、大地震に見舞われた際でも倒壊しなかったことや、故カリモフ大統領の日本人に対する感情に触れ、非常に親日的で、かつ数千年の歴史を有する「中央アジアの雄」と呼べる国であるため、日本企業がビジネスを構築できる素地があると述べた。

ジェトロの佐々木伸彦理事長は、2000年にタシケント事務所を設立して以来、約20年間ウズベキスタンで活動していることを紹介。近年では、日本への現地バイヤーの招聘(しょうへい)、現地企業の日本の食品見本市への出展支援を行っているほか、「ビジネス短信」や同国の衣食住を取り上げたレポート「タシケントスタイル」を通じて、日本企業向けに現地情報の発信に注力していると説明した。

経済産業省通商政策局の杣谷晴久通商交渉官は、日本人へのビザ緩和によって、ウズベキスタンを訪問する日本人の数が2018年に1万7,000人だったものが、2019年には既に2万2,300人に達するなど前年を上回っており、日本人旅行客向けのホテル建設が進められていると述べた。経団連日本NIS経済委員会の朝田照男委員長(丸紅常任顧問)は、日本とウズベキスタンの2国間貿易高が2018年は前年比で5倍に達したと言及。他方、日本の対ウズベキスタン投資は現時点で限られているとし、ウズベキスタンの潜在力をいかに活用するかが課題と指摘した。

三菱商事タシケント事務所の佐野洋一所長は、同社が進める電力および肥料プラント案件を紹介。電力プラントではナボイ、タリマルジャンでのガスタービン供給、ナボイ、トゥラクルガンでの電力プラント建設工事のほか、研修を通じた人材育成、デジタル技術を活用した定期メンテナンスの最適化などを実施しているとし、肥料プラントでは、化学品製造会社ナボイアゾト向けの大規模アンモニア・尿素肥料製造プラント建設プロジェクトが進行中と述べた。

伊藤忠商事タシケント事務所の今泉徹所長は、ウズベキスタンの小中型バス・トラック大手サマルカンド自動車(サムアフト)との合弁プロジェクトを紹介。2007年からコンプリートノックダウン(CKD)部品を納入していたが、2015年に同社への出資を実施し、現在では輸出拡大に伴い、工場拡張を行っていると述べた。

フォーラムでは、全体セッションに続き、(1)燃料・エネルギー、化学、石油化学産業、(2)自動車産業、機械・設備、電気産業・医療機器、(3)食品、繊維・シルク産業、皮革産業、(4)インフラ建設、建材製造、観光の各分野の分科会が開催された。

(齋藤寛)

(ウズベキスタン、日本)

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