マハティール首相、2020年11月までの内閣改造を検討

(マレーシア)

クアラルンプール発

2019年12月06日

マレーシアのマハティール・モハマド首相は11月20日、2020年に同国が議長国を務めるAPECの首脳会議を11月にクアラルンプールで開催するのを前に内閣改造を行う意向を表明した。APECに向けた準備への影響を鑑み、閣僚の交代は最小限に抑える見込みだ。

下院議員補欠選挙での大敗を受け

マハティール首相は「内閣改造は政府への支持回復の解決策ではない」と前置きしたが、内閣改造の検討に入った背景には、11月16日にジョホール州タンジュン・ピアイで行われた下院議員補欠選挙での与党・希望連盟(PH)の大敗がある。2018年5月の第14回総選挙の後に行われた補欠選挙は下院議員、州議会議員合わせて9回あったが、PHは4敗しており、そのうち2敗は野党・国民戦線(BN)が議席を有していた地区だった(表参照)。

残りの2敗はPHの議席をBNに奪われたかたちとなっており、特に直近のタンジュン・ピアイ補選はBNの主要構成政党であるマレーシア華人協会(MCA)の候補者がマハティール首相率いるマレーシア統一プリブミ党(PPBM)の候補者に1万5,086票差の大差で勝利した。

表 2018年5月第14回総選挙後に行われた補欠選挙

APECへの影響を懸念

内閣改造の時期については明言していないが、すぐに行うのではなく、まずは現閣僚のこれまでの実績や能力に対する評価をするとしている。また、APECの準備への影響を考慮し、慎重な姿勢も見せている。他方、マハティール首相は「自身の考えだけで(閣僚の誰を交代させるかなどは)決定できない」として、PH構成政党との議論の重要性を指摘している(「ザ・スター」紙11月20日)。

次期首相に指名されている人民正義党(PKR)のアンワル・イブラヒム党首の入閣については明確に言及されていないが、アンワル党首は入閣しない意向を示している。

(田中麻理)

(マレーシア)

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