ピラミッド前で中東・北アフリカのスタートアップ・ピッチ開催、若者の起業支援イベントが連続的に

(エジプト)

カイロ発

2019年12月24日

エジプトのピラミッド敷地内で12月8日、中東・北アフリカの約800社の申し込みから選出されたスタートアップ14社によるピッチ・コンペティション「Pitch by the Pyramids」が開催された(注)。

写真 ピラミッドを前にしたスタートアップのピッチ(ジェトロ撮影)

ピラミッドを前にしたスタートアップのピッチ(ジェトロ撮影)

サハル・ナスル投資・国際協力相やエジプト内外の投資家らが参加した。参加者投票による1位には、ドバイ発のText Yanzoが選出された。ネットショッピングや配達、清掃、旅行など幅広いサービスのオンデマンド・アシスタントアプリを提供する。審査員が選んだ1位はカイロ発のPaynas(2018年設立)で、企業向けに給与や人事、決済サービスといった労務人事と金融の複合アプリを開発している。2位には、Cloud Sale(ベイルート発、外食・ホテル向け非食品キッチン小物や調理機材などの購入、配達、記録管理プラットフォーム)、Receet Inc.(パレスチナ発、レシート管理アプリ)の2社が入った。主催者のRiseUp LLC.創設者のアブドゥルハミード・シャララ(Abdelhameed Sharara)氏は「古代のイノベーションの場所から、未来のイノベーションを生み出したい」と述べた。

エジプトでは「アラブの春」以降に失業率が高まっており、若者が自ら起業することを支援する動きがある(2019年7月12日付地域・分析レポート参照)。雇用の創出を狙う政府に加えて、携帯電話の高い普及率や情報通信技術(ICT)を用いた社会課題解決が進みつつあることを背景に、国際機関や多国籍ICT企業なども関心を持ち始めている。12月初旬には今回のピッチイベントを含め、カイロで数多くの起業関連イベントが開催された。

12月14日のエジプト最大のICT見本市「Cairo ICT」では、起業支援ワークショップ「Innovation Arena」が実施された。12月1日には若者向け銀行のEG Bankが立ち上げたインキュベーターMint Incubatorの卒業企業10社によるピッチイベント、4日には中東の有力アクセラレーターFlat6Labsの卒業企業10社によるピッチイベントも開催された。

表 エジプトでの12月初旬のスタートアップ関連イベント

(注)RiseUp LLC.主催。

(井澤壌士)

(エジプト)

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