香港政府、2019年4度目の経済対策を発表

(香港)

香港発

2019年12月12日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)は12月4日、2019年4度目となる経済対策を発表した。今回の対策の予算規模は約40億香港ドル(約560億円、1香港ドル=約14円)で、9つの措置からなる。米中貿易摩擦や長引くデモ・抗議活動などによって業績が悪化する中小企業を支援する内容が柱となる。

1つ目の措置は、条件を満たす事業者を対象に、電気料金の75%を香港政府が4カ月間補助する。予算規模は約23億香港ドルと、9つの措置のうち最も規模が大きく、香港政府は約43万の事業者が恩恵を受けると試算している。

また、上下水道料金も、事業者を対象に12月1日から2020年3月31日までの4カ月間にわたり75%を減免する。予算規模は3億4,000万香港ドルで、約25万の事業者が恩恵を受けるとされる。

加えて、2019年1~3月期の事業用不動産税の免除上限額を、1,500香港ドルから5,000香港ドルに引き上げる。予算規模は6億香港ドルに上る。

このほか、事業者および個人を対象に、利得税(法人税)や給与所得税の分割納付を納付延滞金なしで認める措置などを盛り込んだ(経済対策の概要は添付資料参照)。

香港政府は対策の適時性を強調

同日の記者会見において、香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は「外部環境の悪化や香港の社会混乱の影響を受けて、香港の経済情勢は目まぐるしく変化している。現状を踏まえると、影響を受けている事業者を救済するには、必要な対策をひとまとめにして講じるのではなく、準備ができたものから可及的速やかに進めていくべきだ」と述べた。

業界団体は一定の評価

現地経済紙「香港経済日報」(12月5日)によると、香港中小企促進連会の林国雄会長は「一連の措置は、企業負担を一部軽減する効果がある。特に飲食業界への効果が最も大きい」と述べた。一方、香港中小型企業連合会の麥美儀会長は「中小企業にとって最も大きな支出は人件費と家賃だ。香港政府が家賃減額に関する追加措置を講じることを期待する」と表明した。

(吉田和仁)

(香港)

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