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EUで原子力の持続可能性めぐり議論

(EU)

ブリュッセル発

2019年12月25日

持続可能な投資対象のタクソノミー(taxonomy、持続可能な経済活動の類型)の基準を定めた規則案について、欧州議会とEU理事会(閣僚理事会)が12月17日に合意したこと(2019年12月19日記事参照)を受けて、欧州の原子力エネルギー産業団体の欧州原子力会議(FORATOM)はこれを歓迎する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

争点は「no-harm」原則の評価方法

欧州議会とEU理事会の合意では、一部加盟国の要請を受けて、原子力発電も「著しく(環境を)害することがない(「do no significant harm」)」という原則を満たせば、気候中立(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現に向けた「過渡的な経済活動」や、環境対応のパフォーマンス向上に貢献する経済活動として認められる可能性を残した。FORATOMは、原子力エネルギーが持続可能な投資の対象から除外されなかったことを歓迎しつつ、持続可能な投資の対象を選定する際に実施される「著しく害することがない」ことの評価は、核エネルギー・サイクルを熟知した専門家が実施すべきだと主張。徹底的な事実に基づくアプローチで、二酸化炭素(CO2)排出や廃棄物の発生量と追跡可能性、原材料消費、土地利用の影響など客観的な基準に基づいてエネルギー源を評価すれば、原子力エネルギーも気候変動の緩和に貢献する持続可能なエネルギー源として認められるだろうと述べた。さらに、全てのエネルギー源について同じ基準を適用し、技術中立的なアプローチで公平な競争条件を実現すべきだとした。

しかし、原子力発電から発生する放射性廃棄物への懸念などから、EU域内では原子力発電を持続可能な投資の対象として認めるべきではないとする意見も強い。例えば、欧州議会の会派の1つである欧州緑の党・欧州自由連盟(Greens/EFA)は、欧州議会とEU理事会の合意を受けて12月17日に発表した文書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「強化された『害なし』のテストは、原子力エネルギーが環境の持続可能性に貢献する投資とされることを避けるための一助となるだろう」としており、原子力エネルギーに懐疑的な姿勢だ。EUでは今後、持続可能な投資対象についてより具体的な検討が行われることになるが、原子力をめぐっては困難な議論が予想される。

(村岡有)

(EU)

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