日本・インドの「特許審査ハイウェイ」開始を両政府が発表

(インド、日本)

ニューデリー発

2019年12月12日

日本とインドの両政府は、特許審査の待ち期間を短くする制度「特許審査ハイウェイ(PPH)」に関する手続きガイドラインを11月29日にウェブサイトで公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、12月5日にPPH申請受理を開始した。両政府は11月21日にPPHに合意しており、デリーで同日開催されたジェトロ主催の日印知財フォーラム2019で、インド特許意匠商標総局(CGPDTM)のグプタ長官が申請受理を12月上旬に開始するとアナウンスしていた。

権利取得までの期間を約5分の1に短縮

この制度は、日本で特許を取得していれば、インドで同様の特許出願の審査請求をしてから1年半以内に取得が見込まれるもので、両政府の合意から3年間の試行プログラムだ。インドが受理する同制度に係る申請は年間100件以内であり、対象となる特許出願は電気、電子、コンピュータサイエンス、情報技術、物理、土木、機械、繊維、自動車、冶金(やきん)の技術分野に限られる。

インドが受理する特許出願は年間5万件程度、そのうち約1割の年間5,000件は日本からの出願だ。これまで、審査を請求してから審査着手までに約4年半の待ち期間が発生しており、特許取得まで平均7年を要していたが、企業が重要と考える出願について制度を活用することで、約5分の1の期間で取得が可能となる。

審査の迅速化で、知的財産の積極活用に期待

インドは巨大市場を有するとともに、ITをはじめとする各種技術の研究開発拠点化が進み、インドへ進出する日本企業数も10年で3倍になるなど、確実に日系企業がビジネスを拡大している。こうした背景から、インドでも知財紛争が活発化し、日本企業も巻き込まれるケースや、積極的に権利行使する機会も増加していた。今回の制度により、インドでの特許審査が迅速化し、模倣品の排除など知的財産保護に加え、知的財産の積極的な活用につながることが期待される。

(阿部公威)

(インド、日本)

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