2020年予算案を議会に提出、財政健全化を重視

(カメルーン)

アビジャン発

2019年12月17日

カメルーン政府は11月29日、2020年予算案を国民議会に提出した。政治・社会不安の長期化で景気回復が遅れる中、財政健全化への取り組みを重点的に盛り込んだ。具体的には、徴税強化と支出抑制、財政運営の透明性向上を指針に据えた。新年予算は歳入、歳出ともに4兆9,517億CFAフラン(約75億3,200万ユーロ、1ユーロ=約657.425CFAフラン)で、2019年当初予算と比べ5.0%減の緊縮予算となった(12月3日カメルーン国営ラジオ・テレビ放送)。

政府は予算編成に当たって、徴税強化策を実施することで歳入基盤の強化を図った。その上で、予算を厳正に執行し経常支出を抑制しつつ、社会的支出や成長指向の施策などの優先課題に必要な予算を講じることを基本に据え、財政均衡化を目指している。なお、2020年の実質GDP成長率は2019年と同水準の3.9%前後と予測している。

物品税の適用品目を拡大

2020年財政法案では、輸出搬出税や輸入に課される物品税の課税対象が拡大されたほか、税率の引き上げが見込まれている。ジョゼフ・ディオン・ングテ首相が同日、発表した増税対象となる品目の概要は次のとおり。

  1. 輸出搬出税:半加工品(1%)、コメ、パーム油、モロコシ、大豆、コーラの実、アラビアゴム、コショウなどの農産品、ダイヤモンド、金などの鉱物資源、製材(10%)、丸木(35%)(注1)。
  2. 物品税:ハイドロキノンおよびこれを含む化粧品類(50%)、たばこ、葉巻、刻みたばこなど(30%)、ゲーム器具、遊戯用器具、ビリヤード、ボウリング用具、カジノゲーム器具など(25%)、排気量250立方センチ以上のオートバイおよび全てのオートバイ部品、排気量2,500立方センチ以上かつ15年以内の乗用自動車、かつら、つけ毛、つけまつ毛、つけひげ、つけ爪および原材料など(12.5%)、カカオを含まない清涼飲料水、チョコレート、カカオ含有調整食品、排気量250立方センチ以下のオートバイなど(5%)(注2)。

(注1)課税標準FOB価格ベース。

(注2)課税標準CIF価格ベース。

(渡辺久美子)

(カメルーン)

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