タミル・ナドゥ州、工業団地に再生水を供給する排水浄化処理施設完成

(インド)

チェンナイ発

2019年12月12日

インド南部のタミル・ナドゥ(TN)州政府は11月29日、エダパディ・K・パラニスワミ州首相が出席して、州都チェンナイ市西部のコヤンベドゥ排水浄化処理施設の開所式を行った。水の供給能力は1日当たり4,500万リットル。逆浸透で3次(高度)処理(TTRO)を行い、汚水を飲用可能なレベルまで浄化する。

この施設の完成により、日系企業が多く進出するオラガダム周辺の工業団地にパイプラインで再生水供給が開始される。このエリアの州産業振興公社(SIPCOT)工業団地に入居する日系企業にとって、水の供給不足が工場運営上の課題となっており、チェンナイ日本商工会は州政府との対話などを通じ、供給改善を繰り返し要望していた。工業団地付近ではこれまで、近隣の湖(貯水池)からパイプラインが敷設されているものの、貯水量が慢性的に低水準にとどまっていた。この状況の改善が見込まれる。ジェトロが12月6日にSIPCOTへ供給開始時期を確認したところ、「現在、試験確認を行っており、12月中の開始を目指している」との回答があった。

チェンナイにおけるTTROプラントの完成は、10月に操業を開始した市内北部コドゥンガイユールの施設に次いで2つ目。コヤンベドゥの施設は地場大手VA Tech Wabag がイスラエルのIDE Technologiesとのコンソーシアムで建設工事などを担った。VA Tech Wabagが今後15年間にわたって運用・維持管理を行う。建設費用は48億6,210万ルピー(約72億9,315万円、1ルピー=約1.5円)で、国際協力機構(JICA)のTN州投資促進プログラム(円借款)と中央政府のジャワハルラル・ネルー国家都市再生ミッションによって資金が供与された。

パラニスワミ州首相は「コドゥンガイユールとコヤンベドゥの2つの排水浄化処理施設の稼働により、(チェンナイの)汚水の約20%が再利用される」としている(「ビジネス・スタンダード」紙11月29日)。

(坂根良平)

(インド)

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