競争・消費者委、大手IT企業への規制求め、政府へ提言

(オーストラリア)

シドニー発

2019年08月02日

オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は7月26日、インターネット検索エンジンやソーシャルメディアなどのデジタルプラットフォームの市場支配に対する要望をまとめた600ページにわたる報告書を発表した。財務省が2017年12月にACCCに対し、デジタルプラットフォームの市場および消費者への影響をとりまとめるよう指示していたもので、今回、最終報告書として財務相へ提出された。

ACCCは報告書の中で、グーグルとフェイスブックの市場支配力が大きく、メディアや広告に限らず、さまざまな市場での競争をゆがめていることを指摘した。また、消費者は個人データがどのように収集・使用されているかを知らされておらず、収集された膨大なデータを自身で管理できない状況にあることを問題提起した。さらに、フェイクニュースなどの偽情報によって、消費者のデジタルプラットフォームに対する不信感が高まっている点も報告した。

報告書では、競争環境の確保、消費者保護およびプライバシー保護に関する法規制などの強化、メディア規制などに関して23の提言を行った。デジタルプラットフォームの成長による「実質的な市場支配力」に対処するため、ダイナミックな改革を連邦政府に求めている。

例えば、デジタルプラットフォーム大手による反競争的な企業買収や消費者データの不適切な利用・管理を防止するための関連法の改正や、不正行為を常に監視する専門部署をACCC内に設置することを提案している。また、ACCCはグーグルに対して、ヨーロッパと同様に(注)、アンドロイド端末の検索エンジンとインターネットブラウザをグーグル以外も選択できる仕様とするよう改善を求めた。

連邦政府はACCCの報告に対し、改革の必要性を認識するとともに、調和の取れた規制の枠組みを検討する必要があるとした。今後、12週間の意見聴取を実施し、2019年末までに報告書に対する回答を最終決定する予定だ。

(注)欧州委員会は2018年7月、アンドロイド端末の検索エンジンおよびインターネットブラウザについて、グーグルが自社アプリ搭載を求めるなど支配的地位にあるとして、独占禁止法違反と判断し、43億4,000万ユーロの制裁金支払いを命じた。

(住裕美)

(オーストラリア)

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