大連の酒輸入会社、「売れ筋商品は日本酒とリキュール」

(中国)

大連発

2019年12月27日

日本との経済交流が活発な東北3省(遼寧省、吉林省、黒龍江省)では、大連市を中心に日本の輸入食品を扱うバイヤーが集積している。日本酒やリキュールを中心に輸入している大連滴水貿易の常松総経理に事業概要、販売ルート、売れ筋商品、今後の事業展開などについて聞いた(12月16日)。

(問)事業の概要は。

(答)2005年から貿易事業を始め、2010年から日本産酒類の取り扱いを開始した。お酒の主な原料は日本の米と水であることから、海外産の酒で容易に代替できるものではないため、日本産酒類へのニーズが確実に存在するとみて参入した。日本産酒類の売り上げは2010年の10万元(約160万円、1元=約16円)から順調に伸び、2019年は240万元に達する見込みだ。

(問)販売ルートは。

(答)最初は、実店舗を中心に販路を拡大した。現在は東北3省や北京市、上海市の日本料理店のほか、東北3省の高級スーパーや、北京華聯集団(BHG)、久光百貨などの全国に展開するスーパーにも卸している。2017年からは電子商取引(EC)での販売もスタートし、京東(JD.COM)直営店と淘宝の出店企業および出店者に納品している。ECでの販売量は年々増加しており、現在は売り上げ全体の65%を占めるまでに成長した。

(問)売れ筋商品は。

(答)日本酒とリキュールだ。月間販売量の約8割は輸入品で、約2,000本となる。うち、日本酒が50%、リキュールが40%、焼酎が10%を占めている。日本酒とリキュールの消費層は女性にも拡大しており、とりわけEC販売では20~30代の女性を中心によく売れている。カラフルで可愛いデザインのパッケージに加え、1本当たり100~200元と気軽に購入できる価格なためだ。また、アルコール度数が低く、飲みやすいことも若年層の女性を引き付ける主な要因だ。

一方で、焼酎の販売状況は芳しくない。製法が中国の白酒に似ている半面、白酒よりアルコール度数が低く、香りが薄いため、中国人消費者の嗜好(しこう)に合わない一面がある。

(問)日本企業との取引における課題は。

(答)日本に頻繁に出張し、酒類関連の展示会の視察や酒蔵の見学を通じて、新規商品を発掘している。日本では、中小規模でも数百年の歴史を誇る企業が少なくなく、品質維持に専念している企業文化に驚かされることが多々ある。

日本企業との取引における課題は2点ある。1つは、生産量だ。中国市場の変化は著しく、販売したばかりの新製品でも宣伝や販促効果が奏功し、注文量が急激に増えることがある。しかし、日本の多くの中小企業の生産能力は限られており、注文に柔軟に対応できない問題がある。

もう1つは、商品開発に柔軟に対応できる企業が少ないことだ。商品によっては、中国人消費者の嗜好に合わせて、パッケージ、香り、アルコール度数の微調整が必要なものがある。また、中国で知名度が低い商品については、当社とともに中国でのプロモーション活動を頻繁に行う必要がある。そのため、中国市場の開拓に積極的で、かつ、プロモーションに協力的な日本企業との連携を希望している。

(問)今後の事業展開は。

(答)日本の酒造会社は1,000社を超えると聞いているが、まだ60社ほどしか訪問できていない。今後、新規商品の開拓を積極的に行っていきたい。また、近年、中国市場では日本産ウイスキーへのニーズが高まっており、日本のウイスキーメーカーとの商談も期待している。

(王哲)

(中国)

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