10月の失業率が4.5%に減少、若年層は2.8倍の12.8%

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月20日

フィリピン統計庁(PSA)は12月5日、10月の失業率が4.5%と、前年同月から0.6ポイント減少し、7月の前回調査時の5.4%よりも0.9ポイント減少したと発表した(表参照)。不完全雇用率(基準労働時間数を下回り、より長く働くことを希望し、かつ可能な状態の者の割合)は13.0%で、前年同月の13.3%からは0.3ポイント減少、7月の13.9%よりも0.9ポイント減少した。4.5%という失業率は、政府の中期開発計画「フィリピン開発計画2017~2022(PDP)」で定める4.7~5.3%という目標を下回っている。

10月の失業率を地域別にみると、マニラ首都圏は4.6%と、前年同月の6.0%から1.4ポイント減少した。一方で、日系企業を含む多くの製造業が入居する工業団地が多く集積するカラバルゾン地方が全国で2番目に高い5.8%となったものの、前年同月の6.6%から0.8ポイント減少した。全国で最も高かったのは、2月に暫定的な自治政府が発足(2019年3月5日記事参照)したバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域の6.6%で、前年同月の3.8%から2.8ポイント上昇した。

10月時点の被雇用者数を産業別にみると、第一次産業(農林水産業)は全体の23.5%(前年同月:24.1%)、第二次産業は18.9%(19.1%)、第三次産業(サービス業)は57.7%(56.8%)となり、第三次産業だけ被雇用者数の割合が上昇した。

若年層(15~24歳)の失業率は、全体の平均(4.5%)の約2.8倍の12.8%と高かったが、前回調査時の7月(14.4%)から1.6ポイント減少し、前年同月の13.3%から0.5ポイント減少した。

フィリピンの若年層については、アジア開発銀行(ADB)が12月3日、就学・就労・職業訓練のいずれも行っていない15歳から24歳までの若者(以下、ニート)の割合を2022年までに17%まで減少させるプロジェクト費用として、4億ドルをフィリピン政府に貸し付けると発表している。ADBによると、フィリピンのニートの割合は2012年に25%だったのが、2017年には22%まで減少したとされる。ただし、東南アジアとオセアニア地域の平均値18%に比べると高い。

表 地域別失業率、不完全雇用率

(坂田和仁)

(フィリピン)

ビジネス短信 7301594b49b60e68