APEC2020、議長国マレーシアにて始動
(マレーシア)
クアラルンプール発
2019年12月23日
2020年のAPECは、1998年以来22年ぶりにマレーシアを議長国として開催される。12月4日に開会式がクアラルンプール近郊・サイバージャヤで行われ、マハティール・モハマド首相、閣僚およびAPEC加盟国の各国大使らが参加した。120超の会議が国内5都市で開催され、約1万6,000人がマレーシアを訪れる予定だ(表参照)。
繁栄の共有がメインテーマ
マハティール首相は開会式において、APEC2020のテーマを「繁栄の共有の未来に向けた人間の潜在性の最適化」とし、(1)貿易投資対話の向上、(2)デジタル経済と技術を通じた包括的な経済活動への参加、(3)革新的な持続可能性の推進、の3つを優先分野とするとした。
同首相は、10月5日に発表した「2030年までに所得グループ、民族、宗教、サプライチェーンにおける公正かつ公平な分配による持続可能な成長」を達成することを目的とした、マレーシアの国家開発計画「シェアード・プロスペリティ・ビジョン2030」(2019年10月18日記事参照)について言及し、APEC加盟国における持続可能性の構築、市民の福祉と生活水準の包括的な向上のためにも、現在の経済構造において、繁栄の共有の哲学を考慮すべきだと強調した。
また、マレーシアはAPEC2020の議長国として、引き続き、女性の労働参加、金融包摂、若者支援、持続可能な成長、起業家やスタートアップのための環境創出などに取り組むことを表明した。
ポスト2020に向けた重要な年
2020年は、1994年にインドネシアで行われたAPEC首脳会議において採択された「APEC経済首脳の共通の宣言(ボゴール宣言)」で掲げられた、自由で開かれた貿易投資を達成するという目標の最終年となる。12月9~11日に開催された非公式高級実務者会合では、APEC2020はボゴール宣言の後継となるビジョンの策定にあたり、各国が協力していくことが確認された。
APECの各会合は、クアラルンプール、プトラジャヤ、ペナン、ランカウイ、コタキナバルの5都市で開催され、首脳会議は2020年11月12日にクアラルンプール市内で開催される。
(田中麻理)
(マレーシア)
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