チリ発スタートアップ「NotCo」、植物由来のハンバーガー発売へ

(チリ)

サンティアゴ発

2019年12月25日

チリ発フードテック系スタートアップのノット・カンパニー(NotCo)が2020年1月から植物由来のハンバーガーパティを発売すると発表した(12月16日付「ディアリオ・フィナンシエロ」紙)。同社は2015年11月にチリ人起業家3人によって設立されたスタートアップで、自社の人工知能(AI)を搭載した機械学習ソフトウエア「Guiseppe(ジュゼッペ)」を用いて、既存の動物性原材料を使用する食品を植物性食品のみで代替した製品の開発、販売を行っている。NotCoの製品名には全て、企業名に含まれる英語の「ノット(Not)」が冠され、マヨネーズは「ノット・マヨ(NOTMAYO)」、牛乳は「ノット・ミルク(NOTMILK)」、アイスクリームは「ノット・アイスクリーム(NOTICECREAM)」の名称で販売されており、代替製品である点を前面に押し出す企業戦略がうかがえる。

写真 店頭に並んだ「ノット・マヨ(NOTMAYO)」(ジェトロ撮影)

店頭に並んだ「ノット・マヨ(NOTMAYO)」(ジェトロ撮影)

同社は2019年3月に、アマゾンの創設者ジェフ・ベゾス氏のベンチャーキャピタルであるベゾス・エクスペディションズ(Bezos Expeditions)を含む数社から3,000万ドルの投資を受け(3月2日付「エル・メルクリオ」紙)、現在、米国サンフランシスコに本社を構えている。既にチリやブラジル、アルゼンチンで製品の販売を開始した。サンフランシスコでは米国人の味覚に合う商品の開発も行っており、米国、メキシコで販売を拡大する予定となっている。創設者の1人、最高経営責任者(CEO)のマティアス・ムシュニックは、米国ではアマゾン子会社のホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)を通じて販売する予定だとコメントしている。

NotCoが自社製品の普及によって目指すのは、環境保全と食生活の改善だ。家畜の飼育を目的とした森林伐採などに伴う温室効果ガスの増加が世界的な問題となっていることに加え、チリでは偏向した食生活による肥満率の増加が米国やメキシコと同様に社会問題となっている(2019年10月24日記事参照)。NotCoは現在、ヨーグルトやチーズ、サーモンなどの代替品を将来的に販売するべく、商品開発を進めている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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