世界初の医療用5Gネットワーク、成都で商用化開始

(中国)

成都発

2019年12月06日

中国の四川大学の発表によると、世界初の医療用の第5世代移動通信システム(5G)ネットワークが11月13日、四川省成都市の四川大学華西第二病院(以下、華西二院)で商用サービスを開始した。

このサービスは、最先端の5G技術を有する華為技術(ファーウェイ)と、5G技術の応用と商用化に力を入れる中国移動(成都)産業研究院、中国移動通信集団四川との提携により開発された。ネットワークスライシング技術(注1)とモバイルエッジコンピューティング技術(注2)に基づき、クラウド・ネット・ビジネスが三位一体となったプラットフォームを病院内で確立した。

華西二院は華西病院の系列の婦人小児科専門病院で、華西病院は復旦大学医学管理研究所が毎年発表している「中国病院ランキング」で2018年に2位を獲得。特に科学研究技術が高く評価され、全国首位の点数を獲得した。ちなみに、華西病院は10年連続で同ランキング上位3位に入っている。

今回の商用サービス開始により、スマート病棟管理や5G遠隔手術、遠隔超音波などが可能となる。5Gと仮想現実(VR)を活用したシステムでは、集中治療室(NICU)にいる新生児をリアルタイムで観察することもできる。5Gを活用した新生児移送車では、救急車を小型移動病院として機能させ、病院に搬送する前から医師が治療の準備に取り掛かれるよう、新生児のバイタルサインをリアルタイムで病院に送信することができる。

13日の商用サービス開始の記者発表会では、こうした技術が実際に活用される場面のパネルや関連の医療機器などが病院のロビーに展示された。

写真 華西二院ロビーの様子(ジェトロ撮影)

華西二院ロビーの様子(ジェトロ撮影)

(注1)ネットワークを仮想化し、ネットワークリソースを分割して、用途に応じたサービスを提供する技術を指す。

(注2)ユーザーの近くにサーバーを配置し、低遅延で端末側での処理を減らすことができる。

(陳果)

(中国)

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