リンネ首相が辞意表明、郵便などのストライキを受け

(フィンランド)

ロンドン発

2019年12月05日

フィンランドのアンッティ・リンネ首相(社民党)は12月3日、連立与党の中央党から不信任案が提出されたことを受けて辞意を表明した。サウリ・ニーニスト大統領は、辞任を受け入れたものの、次期首相選任までリンネ氏に首相職にとどまるよう要請。同氏はそれまで暫定的に首相を務める。

中央党の不信任案提出の理由は、郵便局職員の所属変更をめぐるストライキだ。郵便は国営事業で、職員の雇用者は国営郵便事業ポスティ(Posti)。ポスティは約2万人の職員を抱えるが、経営者側が700人の小包仕分け担当従業員を子会社「郵便サービス社」(Posti Palvelut)に移すことを一方的に決定した。この所属変更により、対象職員の給与が大幅に低下することから、組合側が反発、11月11日から4週間の予定で郵便物の配達を中止するストライキに突入した。さらに、郵便局配達員組合を支持する運輸関連組合も支援ストライキに入り、11月25日には、ヘルシンキ市内バスとフィンランド航空250便が欠航した。ポスティの経営側と組合は27日に政府の調停員が示した和解案を受け入れ、郵便配達は再開されている。

郵便ストを受けてシルパ・パーテロ地方行政・国営企業相(社民党)は、ポスティの役員であり、情報を得ていたにもかかわらず混乱を回避できなかったとして、野党から責任を追及され、11月29日に辞任を表明して12月13日までの病気休暇に入っていた。

リンネ内閣は4月の総選挙を経て6月6日に発足した5党連立政権(2019年6月7日記事参照)。各党の調整で連立が維持されれば、話し合いによって近く後継首相が選出される可能性もあるとみられている。

(前薗香織、岩井晴美)

(フィンランド)

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