第3四半期のGDP成長率、前年同期比1.2%で経済回復に弾み

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年12月24日

ブラジル地理統計院(IBGE)は12月3日、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を発表した(表参照)。前年同期比で1.2%、前期比(季節調整済み)で0.6%となった。

産業別に前年同期比の成長率をみると、​農畜産業は、綿花やトウモロコシの生産量が寄与し、全体で2.1%となった。​工業は全体で1.0%となっており、内訳では建設が4.4%、ガスや石油の採掘が好調で​鉱業が4.0%、水力発電が安定的だったことから電気・ガス・上下水道・都市清掃も1.6%となった。一方、製造業がマイナス0.5%となったのは、セルロース・紙や化学品、医薬品、金属製品などの減少が影響した。​サービス業では、情報サービスが4.2%と順調に成長した。​

需要要素別の成長率を前年同期比でみると、個人向け貸付残高や給与所得の増加により、個人消費支出が1.9%増加した。​政府支出はマイナス1.4%となったが、IBGEのレベッカ・パリス国民経済計算コーディネーターは、さまざまな分野で政府が財政再建のために過度な支出を控えていることが起因と分析する。政府支出の減少をカバーするかたちで、民間部門による総固定資本形成(投資)は、建設業と資本財の生産増加が寄与して2.9%となった。

12月3日付の経済省経済政策局(SPE)の発表によると、7月に政府が発表した勤続年数保証基金(FGTS)の引き出し解禁に伴い、サービス、小売り分野の信頼指数が上昇したことを成長要因として挙げている。第4四半期(10~12月)はクリスマス商戦をはじめとした個人消費支出と支出勤続年数保証基金(FGTS)の引き出し解禁も相まって、12月3日付「アジェンシア・ブラジル」紙によると、ブラジル全国工業連盟は2019年のGDP成長率を1.2%と見込んでいる。12月13日付の中央銀行のフォーカスレポートでは、1.1%の成長率を見込んでいる。

また、ブラジル商業・サービス・観光連盟(CNC)は、インフレ抑制や金融機関の融資期間延長、FGTSの引き出し解禁などを踏まえ、2020年のGDP成長率を2.2%と予測している。

さらなる経済活動の追い風として、中銀の金融政策委員会(CMN)は11月27日付決議4.765号で、当座貸し越し型ローンの金利上限を月8%、年率150%とする決議を発表しており、1月6日に施行する動きもある。

表 四半期別と通年の実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

(古木勇生)

(ブラジル)

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