第3四半期の実質GDP成長率は前年同期比3.3%

(チリ)

サンティアゴ発

2019年12月04日

チリ中央銀行の発表(11月18日)によると、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は前年同期比3.3%で、2019年に入り初めて3%台に乗った。

需要項目別にみると、内需は民間消費と総固定資本形成が好調で、前年同期比2.4%増だった(表1参照)。民間消費は、耐久財の消費が減少したものの、個人向けサービスへの支出が前期よりさらに増加したため、3.0%増となった。総固定資本形成は、建設・その他の投資が7.4%増だったため、5.9%増と大きく伸びた。

表1 需要項目別の実質GDP成長率(前年同期比)

財・サービスの輸出は、前年同期比1.2%増で、2019年に入り初めてプラスとなった。特に銅の輸出増が大きく影響したほか、アボカドなど果物の輸出も増加した。一方、輸入は1.8%減となり、2期連続のマイナスだった。石油・天然ガスなどエネルギー関連製品の輸入は増加したが、自動車、ピックアップトラック、トラックの輸入減が影響した。輸入はGDPの控除項目なので、輸入の減少は計算上、GDPを一時的に押し上げる効果がある。しかし、消費財や生産財の輸入の減少は、今後の消費と投資の減少につながる可能性もあるため、注視が必要だ。

経済活動別にみると、高成長に最も貢献したのは個人向けサービスだ。医療サービスや教育サービスの需要増に支えられて前年同期比4.2%増となり、GDP成長率全体(3.3%)への寄与度は0.6ポイント(寄与率にすると18.2%)だった(表2参照)。企業サービス(前年同期比4.3%増)は、主に鉱業プロジェクトに関連する建築およびエンジニアリング活動や、機械、設備のリース増に牽引され、寄与度0.5ポイント(寄与率13.9%)で、個人サービスに続いて全体の成長に貢献した。

表2 経済活動別の実質GDP成長率(前年同期比)

一方で農林業は、前年同期比1.8%減で、第3四半期唯一のマイナスとなった。主に林業におけるマツの丸太の生産減と、ビーツ加工業の需要減を反映した年間生産量の減少が影響している。

11月21日付「プルソ」紙によると、現地エコノミストらによる2019年GDP成長率予想の平均は、第4四半期に反映される、10月上旬に始まった国内の反政府デモが経済に与える影響を考慮し、2.0%となっている。第2四半期のGDPが公表された際の成長率予想の平均値は2.6%だったため、下方修正された。

(佐藤竣平、岡戸美澪)

(チリ)

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