世界のFTA発効件数は320件に、ジェトロが「FTA一覧」2019年版を公表

(世界)

国際経済課

2019年12月25日

ジェトロが12月25日に公表した「世界と日本のFTA一覧」(注1)の最新2019年版によると、世界の発効済み自由貿易協定(FTA)件数は2019年12月末時点で320件となった。地域を横断した国・地域間でのFTA締結の動きが引き続きみられ、2019年に発効したFTA10件のうち、7件は日EU経済連携協定(EPA)をはじめとした地域横断のFTAだった(表参照)。

表 2019年に発効したFTA

アフリカでは、エリトリアを除く域内54カ国・地域が参加する、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)設立協定が2019年5月に発効した。アフリカ域内の物品関税の撤廃、サービス貿易や投資の促進が盛り込まれた自由貿易圏の設立をうたった協定で、2020年7月の運用開始を目指す。日本企業にとっても、AfCFTAを活用した事業の拡大など、アフリカでのビジネス推進が期待される。

日本が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)(注2)交渉は、2019年内の妥結が期待されていたが、インドが難色を示し、16カ国での交渉妥結は2020年に持ち越された。2019年11月にタイで行われた首脳会合では、インドを除く15カ国で全20章の条文交渉、および基本的に全ての市場アクセス交渉を終了させている。今後、2020年の署名を目指し、各国において法的精査を進めることで合意した。

ブレグジットに向け、英国と第三国FTAの交渉が進む

2020年1月末にブレグジット(英国のEU離脱)の実現がほぼ確実となった英国は、EU離脱後も貿易協定の内容を維持するための「継続協定」を各国・地域と交渉を進めている。2019年12月時点で英国は韓国、スイスをはじめ既に20近くの国・地域との自由貿易協定に署名している。

仮に、英国が2020年1月末に離脱協定の批准をしてEUを離脱し、2020年12月で終了する移行期間(注3)の延長がされない場合、これらの自由貿易協定は2021年1月から発効する見通しだ。

(注1)世界と日本で発効済み、署名済み、合意済み、交渉中などの段階にあるFTAについて、ジェトロが各協定の概要や進捗状況を一覧にまとめたもの。

(注2)交渉参加国は、ASEAN加盟国および日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドの全16カ国。

(注3)離脱協定で定められる移行期間については、2019年12月23日記事参照。

(伊尾木智子)

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