2021年の国家予算規模は過去最高、貧困対策と治安維持に主眼

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月23日

フィリピン予算調整委員会(DBCC)は12月11日、2021年の国家予算規模は4兆6,400億ペソ(約9兆7,440億円、1ペソ=2.1円)となり、4兆1,000億ペソの2020年度の国家予算から13%増加すると発表した。12月12日付で「フィルスター」ほか、地元各紙が伝えた。

DBCCの委員長で、予算管理省のウェンデル・アビサド長官代理は、4兆6,400億ペソはフィリピンのGDPの20.2%に相当するとし、フィリピン政府は2021年も引き続き、貧困対策と治安維持に重点を置いて予算を執行すると説明した。また、重点を置く具体的な施策として、国民皆保険の実現を目指すユニバーサル・ヘルスケア・プログラムや、コメの輸入数量制限を撤廃した改正農業関税化法の施行、イスラム教徒による自治政府であるバンサモロ自治政府に対する支援、そして特に貧困が顕在化している地方自治体への支援を挙げた。

一方で、4兆1,000億ペソ規模の2020年国家予算は12月11日、上下両院によって承認され、ドゥテルテ大統領の署名を待つのみとなった。予算執行の遅れは経済にマイナスの影響をもたらす。3兆6,662億ペソ規模の2019年国家予算は4カ月ほど遅れて4月に成立したが、それまでの間、新規事業は認められず、暫定予算による継続事業の予算執行にとどまった。また、5月の中間選挙キャンペーン期間中の公共事業が禁止されたことも重なって公共投資が落ち込み、2019年上半期のGDP成長率は5.5%にとどまった(2019年8月16日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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