配車サービスの運賃、政府が決定することを規定する法案が提出

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月23日

配車サービスの運賃設定の権限を、フィリピンの陸上交通許認可規制委員会(LTFRB)が保有することを規定する法案(下院第5748号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))が12月9日、下院に提出された。

下院第5748号は、フィリピン運輸省が2018年に出した省令(DO No.2018-013)において定めた金額を超過した運賃を、配車サービス業者から請求されたという顧客のクレームが繰り返し寄せられたことを、法案提出の理由の1つとして定める。

下院第5748号は第6条において、LTFRBが(1)車両タイプ、(2)年式、(3)サービス時間、(4)走行距離の4点を考慮した上で、広く国民から意見や情報を募集する意見公募手続き(パブリックコメント)を行い、配車サービス業者からも意見を聴いた上で、配車サービスの運賃を決定すると規定する。

下院第5748号はまた、第7条において、第6条に基づいて決定した金額を超過した運賃を配車サービス業者が顧客に請求した場合、5日以内に顧客に対して超過した分の金額を返金するシステムをLTFRBが構築することを定める。第8条は、下院第5748号の規定に反する配車サービス事業者は、罰金、営業停止、営業免許取り消しのいずれかの罰則を受けるとする。

フィリピン競争委員会(PCC)は11月中旬、政府が定める料金やサービスの規定に違反しているとして、配車サービス大手のグラブ・フィリピンに対して、利用者へ500万ペソ(約1,050万円、1ペソ=約2.1円)の返金を命じた。ウーバー撤退後に、グラブ・フィリピンの独占状態となっているフィリピンの配車市場に風穴を開けようと、各国の配車大手も動き出しており、インドネシアの配車サービス大手のゴジェック(Go-Jek)は2018年、フィリピン市場参入に向けてフィリピン当局に申請手続きをしたが、外資出資比率が40%を超えていたため、公共サービス法に反するとして、営業許可の申請を却下された。その後、ゴジェックのフィリピン現地法人のベロックス・テクノロジー・フィリピンズ・インク(VTPI)が、その株式の60%をフィリピン企業のペース・クリムソン・ベンチャーズ・コーポレーション(PCVC)に売却した上で、2019年11月に再度、フィリピン市場への参入申請手続きに入っている(2019年12月4日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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