BRICS首脳会議、多国間協力強化で一致、2020年議長国はロシア

(ロシア、中国、ブラジル、インド、南アフリカ共和国)

欧州ロシアCIS課

2019年11月20日

ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国の5カ国で構成するBRICSの第11回首脳会議が11月14、15日、ブラジルの首都ブラジリアで開催された。

共同宣言文書には、a.多国間協力システムの強化〔国連、WTO、IMFなどの国際機関、気候変動、生物化学兵器の取り扱い、情報通信技術(ICT)、テロ・資金洗浄対策などにおける多国間での協力強化〕、b.経済・金融分野での協力(WTO体制・ルールの維持、インフラ整備への投資、BRICS各国通貨での債券市場の組成促進)、c.世界の地域情勢の認識の一致(シリア、イエメン、パレスチナ、アフガニスタン、朝鮮半島、リビア、スーダン)、d.BRICS枠内での協力(科学技術・イノベーション、エネルギー、感染症対策、税関、税務、汚職対策、都市環境整備、農業、文化交流、司法制度)などが盛り込まれた。

ロシアのプーチン大統領は14日に開催されたビジネスフォーラムの閉会式のスピーチで、昨今の世界経済の減速は経済制裁や保護主義的措置など不公正な貿易措置によるものと指摘。一方、ロシアはバランスの取れたマクロ経済政策、国家歳出の管理や金融市場の安定性を追求し、不況に陥ることを防いでいると強調した。BRICS諸国とは、製薬・医療や航空・宇宙などハイテク分野で産業連携を実施しているほか、5カ国が優先分野の1つに位置付けるエネルギー分野では再生可能エネルギー、省エネ、天然ガスの自動車燃料への利用が有望とし、原子力の平和利用での協力も進めたいと述べた。

さらに、2020年はロシアがBRICS議長国となり、7月にサンクトペテルブルクで首脳会議を開催することに言及(注)。2015年の首脳会議で採択した経済連携戦略の刷新を行い、貿易、金融、投資の分野での共同活動など経済協力がメインのアジェンダとなると述べた。

(注)2019年8月15日付ロシア大統領令第380号で、上海協力機構の首脳会議と一緒に開催することが決定している。

(齋藤寛)

(ロシア、中国、ブラジル、インド、南アフリカ共和国)

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