大規模ストが発生、南米諸国の抗議活動が波及

(コロンビア)

ボゴタ発

2019年11月26日

コロンビア全土で11月21日、政府の経済政策に抗議する大規模なストライキが実施された。ストは10月上旬から呼び掛けられていたもので、労働組合や学生、教員、先住民活動家などが加わり、公共料金への補助金削減や年金改革などを実施しないよう政府に求めたほか、汚職対策、最低賃金の引き上げ、和平合意の順守を訴えた。

ストとともに行われたデモはおおむね平和的だったものの、一部の過激な参加者が駅や商業施設の破壊や強奪などの暴力行為をし、警察部隊や軍が催涙ガスを使用して鎮圧に当たった。こうした事態を受けて、政府は、地方自治体の首長が夜間外出禁止やアルコール飲料の販売禁止といった臨時措置を講じることを許可。西部カリ市では21日午後7時以降の外出禁止令が出され、首都ボゴタでも22日正午から24時間のアルコール飲料販売禁止、同日午後9時以降の夜間外出禁止が発令された。25日現在、大半の地域でデモは沈静化しているものの、各都市で抗議集会が呼び掛けられているなど、今後の動きには不透明感が残る。

政府への抗議活動が過激化した背景には、チリやエクアドルなど近隣の南米諸国で立て続けに発生している反政府デモの影響がある。コロンビアではこれらの国のように政府が具体的に地下鉄運賃値上げや補助金廃止を発表したわけではないが、悪化する失業率や治安への不安、政府への不信感が拡大し、抗議活動につながった。イバン・ドゥケ大統領は24日、10月の地方選挙で当選した次期首長らを呼んで対話のための特別委員会を設置。国民の声に耳を傾け、社会の格差をなくすため、「公平な成長」「汚職撲滅」「教育」「合法的な平和」「環境保護」「政府機関の強化」の6つのテーマに重点を置いて議論を進めると発表した。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

ビジネス短信 f6fefb839fb9124c