反政府デモの影響で10月の輸出は20.7%減

(チリ)

サンティアゴ発

2019年11月12日

チリ中央銀行の11月7日の発表によると、10月の貿易(通関ベース)は、輸出(FOB)が前年同月比20.7%減の52億5,700万ドル、輸入が(CIF)19.7%減の59億400万ドルで、貿易収支は6億4,700万ドルの赤字となった。

輸出(FOB)を主要品目別にみると、銅は前年同月比22.5%減の25億1,500万ドルで、2017年2月にチリ主要鉱山の1つエスコンディーダでのストライキ発生時以来の低水準となった。要因としては、米中貿易摩擦の影響から中国の銅需要が減少し、それに伴う銅の国際価格低下などの外的要因に加え、国内の反政府デモの高まりから、エスコンディーダ鉱山の労働者のデモ参加による操業停止や、ロス・ペランブレス鉱山周辺の車両検査所やオフィスへの放火による操業停止などが挙げられる。

農林水産業は、前年同月比30.3%減の2億100万ドルで大幅に減少した。工業品は19.0%減の22億1,900万ドルだった。うち、サーモンは主な生産地の南部のチロエ県やカルブコ市で、学生デモによる道路の封鎖などの影響から物流が滞り、夜間外出禁止令による労働者の勤務時間短縮も相まって生産性が低下した。11月5日付「プルソ」紙によると、デモの影響を受ける直前の10月17日時点のサーモン価格は1キロ当たり4.10ドルだったが、約2週間後の31日には5.00ドルまで上昇している。

今後の見通しについてエコノミストらは、輸出は外的要因が改善されると回復する可能性があるが、輸入は減少傾向が続くと予想している(「プルソ」紙11月8日)。

(岡戸美澪)

(チリ)

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